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完全子会社株式の譲渡価格と取締役の善管注意義務―東京地方裁判所令和6年9月12日判決

公開 2024年9月12日

▶ 株主代表訴訟の制度の概要、手続の流れ及び会社の側の対応

完全子会社2社の全株式を、自社の株式の約40%を保有する関係会社に譲渡した会社の取締役らが、譲渡価格が極めて低廉であったとして、株主から株主代表訴訟を提起された場面の判例です。株主は、子会社2社の価値は合計24億0200万円であったのに1億9000万円で売却したとして、差額の22億1200万円の賠償を取締役ら(死亡した取締役については相続人)に求めましたが、東京地方裁判所令和6年9月12日判決は、請求をいずれも棄却しました。

判決は、非上場会社の株価の算定には様々な評価手法があり、どの手法を用いるべきかについて明確な判断基準が確立されていないことを前提に、取締役が非上場会社の株式の譲渡に際し、客観的資料に基づく一応合理的な算定方法によって譲渡価額を決定した場合には、特別の事情がない限り、善管注意義務及び忠実義務に違反しないという枠組みを示しました。そのうえで、税理士法人による修正簿価純資産法の算定に沿って価格を決めた本件の取締役会決議に、著しく不合理な点はないと判断しています。

本記事では、株主代表訴訟を提起された会社・役員の立場から、子会社株式などの非上場株式を関係者に譲渡する際に、どのような手順を踏んでいれば価格の決定について責任を問われにくいのか、株主が主張したDCF法による評価や、株価を不当に引き下げたとの主張がどのように扱われたのかを、判決本文に沿って整理します。

Contents
  1. 裁判例の基本情報
  2. 当事者の表記
  3. 事案の概要
    1. 完全子会社2社の全株式を、自社の大株主である持株会社に1億9000万円で譲渡した
    2. 譲渡の前日に、子会社2社から親会社へ電子記録債権の現物配当が行われた
    3. 6年近く後の提訴請求と株主代表訴訟
  4. 事案の経緯
  5. 取締役会に示された資料と本件算定報告書の内容
    1. 取締役会の説明資料
    2. 本件算定報告書の評価結果と評価手法
  6. 当事者の請求と主要な主張
    1. 株主RHK氏の請求
    2. 争点1―取締役ら6名の善管注意義務違反等の有無
    3. 争点2―会社に生じた損害の有無及びその額
  7. 結論を左右した争点
  8. 裁判所が示した判断の枠組み
    1. 非上場株式の評価には、確立した判断基準がない
    2. 客観的資料に基づく一応合理的な算定方法によれば、特別の事情がない限り義務違反にならない
  9. 裁判所が認定した重要な事実と本件への当てはめ
    1. 算定は客観的資料に基づいていた
    2. 修正簿価純資産法は「一応合理的な算定方法」であった
    3. 取締役会は報告書の内容に沿って決議し、特別の事情もうかがわれない
  10. 各主張を採用し又は排斥した理由
    1. 現物配当による株価の不当な引下げ―裏付ける証拠がない
    2. 修正簿価純資産法の採用―著しく不合理とはいえない
    3. 売却の目的―著しく不合理な目的とはいえない
    4. 決議に加わらなかった専務取締役ATK氏について
  11. 主文及び結論
  12. 判断の射程
    1. 参考となる点
    2. 一般化できない点
    3. 株主代表訴訟を提起された会社・役員が確認しておきたいこと
  13. よくあるご質問
    1. 子会社の株式を関係会社に譲渡する場合、外部の専門家に株価を算定してもらえば、取締役の責任は問われませんか。
    2. DCF法を用いずに純資産法だけで株価を算定したことは、問題になりますか。
    3. 株主から、DCF法による高い評価額との差額を損害として請求された場合はどうなりますか。
    4. 譲渡の直前に子会社から親会社へ配当をしたことは、株価の不当な引下げとされますか。
    5. 決議に加わらなかった取締役も、株主代表訴訟で責任を追及されることがありますか。
    6. 提訴請求を受けた会社は、株主代表訴訟でどのような立場をとることができますか。
  14. 関連する記事と御相談のご案内

裁判例の基本情報

裁判所 東京地方裁判所民事第8部
裁判日 令和6年9月12日
事件番号 令和5年(ワ)第70292号
事件の種類 株主代表訴訟(会社法847条3項に基づき、取締役の会社に対する損害賠償責任(会社法423条1項)を追及するもの)
裁判の形式 判決
審級 第一審
結論 原告(株主)の請求をいずれも棄却。訴訟費用(補助参加によって生じた費用を含みます)は原告の負担
上訴の状況 控訴の有無及び結果、確定の有無は確認できていません

この表は、判決本文の冒頭及び末尾の記載に基づいて当事務所が作成したものです。会社は、この訴訟に補助参加人として参加し、被告である取締役らの側で主張をしています。

当事者の表記

判決に出てくる会社名・氏名は、本記事独自のイニシャルに置き換えています。判決が用いた符号も、そのままでは使わず、次の表記に置き換えています。判決本文を引用する部分でも同じ表記に置き換え、置き換えた箇所を〔 〕で示しています。

本記事の表記 立場
密封装置メーカーSKM 補助参加人。各種密封装置及びその関連製品並びにゴム・樹脂及び金属製品の設計・製造・加工・販売等を目的とする株式会社です。完全子会社2社の全株式を持株会社HDCに譲渡しました。訴訟では被告らの側に補助参加しています
株主RHK氏 原告。密封装置メーカーSKMの株式約17.96%を平成29年2月以降継続して保有する株主です。平成7年6月から平成27年6月29日まで同社の取締役を、平成23年6月27日から平成25年3月19日まで代表取締役を務めていました
代表取締役YKM氏 被告。平成29年2月当時の密封装置メーカーSKMの代表取締役で、取締役会で議案を説明し、賛成しました
取締役NGS氏、取締役MRT氏、取締役KSW氏、取締役HDO氏 被告。平成29年2月当時の密封装置メーカーSKMの取締役で、取締役会決議に賛成しました
専務取締役ATK氏 平成29年2月当時、密封装置メーカーSKMの取締役であり、子会社2社の代表取締役を兼ねていました。特別利害関係者として決議に加わりませんでした。令和5年4月22日に死亡しています
相続人EMK氏 被告。専務取締役ATK氏の妻で、法定相続分は2分の1です
相続人KTR氏、相続人MNM氏 被告。専務取締役ATK氏の子で、法定相続分は各4分の1です
代表取締役MTK氏 株主RHK氏の母親。判決本文の前提事実では、密封装置メーカーSKMの代表取締役の1人として記載されています。持株会社HDCの設立時からの代表取締役です(訴訟の当事者ではありません)
持株会社HDC 平成29年1月27日に設立された、有価証券の保有、運用及び売買等を目的とする株式会社です。同年2月当時、密封装置メーカーSKMの株式約40.72%を保有していました。子会社2社の株式の譲受人です
製造子会社FKT、製造子会社GNS 密封装置メーカーSKMの完全子会社であった公開会社でない株式会社です。いずれも密封装置等の設計・製造等を目的とし、発行済株式総数は各1,600株で、同社の国内製造拠点でした。本記事では2社をあわせて「子会社2社」といいます
金融機関MBK 密封装置メーカーSKMのメインバンクである銀行。株価の算定を行った税理士法人を同社に紹介しました
税理士法人ZRH 密封装置メーカーSKMの依頼を受けて、子会社2社の株式価値算定報告書を作成した税理士法人です

本記事では、代表取締役YKM氏、取締役NGS氏、取締役MRT氏、取締役KSW氏、取締役HDO氏及び専務取締役ATK氏の6名をあわせて「取締役ら6名」といい、そのうち決議に賛成した専務取締役ATK氏以外の5名を「取締役ら5名」といいます。判決本文に出てくる密封装置メーカーSKMのほかの代表取締役、取締役会に出席した監査役(弁護士)、税理士法人から相談を受けていた弁護士法人、裁判官は、役割だけで表記し又は記載を省略しています。

事案の概要

完全子会社2社の全株式を、自社の大株主である持株会社に1億9000万円で譲渡した

密封装置メーカーSKMは、子会社2社の全株式を保有していました。子会社2社は、いずれも同社と同じく密封装置等の設計・製造等を目的とする会社で、同社の国内製造拠点でした。

平成29年1月27日、有価証券の保有、運用及び売買等を目的とする持株会社HDCが設立されました。その代表取締役は、設立時から代表取締役MTK氏(株主RHK氏の母親)が務めています。持株会社HDCは、同年2月当時、密封装置メーカーSKMの株式の約40.72%を保有していました。

密封装置メーカーSKMは、子会社2社の株式を持株会社HDCに譲渡するに当たり、メインバンクである金融機関MBKから紹介を受けた税理士法人ZRHに株式価値の算定を依頼し、平成29年2月24日、株式価値算定報告書(以下「本件算定報告書」といいます)の提出を受けました。

譲渡の前日に、子会社2社から親会社へ電子記録債権の現物配当が行われた

本件算定報告書は、子会社2社が、密封装置メーカーSKMに対し、保有する受取電子記録債権を現物配当することを前提に株式価値を算定していました。現物配当の額は、製造子会社FKTが2億6601万4795円、製造子会社GNSが4億2692万2503円です(合計6億9293万7298円。合計額は当事務所の計算です)。

平成29年2月27日、密封装置メーカーSKMの取締役会は、子会社2社の全株式を、譲渡日を同年3月30日、譲渡金額を合計1億9000万円(製造子会社FKTの株式が3700万円、製造子会社GNSの株式が1億5300万円)として持株会社HDCに譲渡する議案を、翌28日に予定されていた子会社2社の現物配当の可決を前提として承認しました。子会社2社の代表取締役を兼ねていた専務取締役ATK氏は、特別利害関係者であるとして審議に加わらず、出席したほかの取締役5名全員の賛成で可決されています。

翌28日、子会社2社はそれぞれ臨時株主総会で現物配当を決議し、密封装置メーカーSKMに対して現物配当を行いました。同年3月17日に株式譲渡契約が締結され、同月31日に株式が持株会社HDCに譲渡されました。

6年近く後の提訴請求と株主代表訴訟

株主RHK氏は、令和5年1月26日、密封装置メーカーSKMの監査役に対し、子会社2社の株式を極めて低廉な価格で売却したことが取締役の善管注意義務及び忠実義務に違反するとして、取締役ら6名の責任を追及する訴えを提起するよう請求しました(会社法847条1項)。会社は訴えを提起しませんでした。

専務取締役ATK氏は令和5年4月22日に死亡し、株主RHK氏は、同年5月25日、取締役ら5名と専務取締役ATK氏の相続人3名を被告として、本件の株主代表訴訟を提起しました。

事案の経緯

時期 出来事(判決本文の前提事実及び認定事実による)
平成7年6月から平成27年6月29日まで 株主RHK氏が密封装置メーカーSKMの取締役(平成23年6月27日から平成25年3月19日までは代表取締役)
平成29年1月27日 持株会社HDCが設立される(代表取締役は代表取締役MTK氏)
平成29年1月31日 本件算定報告書の評価の基準となった時点
平成29年2月当時 持株会社HDCが密封装置メーカーSKMの株式約40.72%を保有。株主RHK氏は同月以降、約17.96%を継続して保有
平成29年2月24日 税理士法人ZRHが本件算定報告書を提出(製造子会社FKT 3702万1000円、製造子会社GNS 1億5326万4000円)
平成29年2月27日 取締役会で、子会社2社の全株式を合計1億9000万円で持株会社HDCに譲渡する議案を承認(専務取締役ATK氏は審議に加わらず)
平成29年2月28日 子会社2社が臨時株主総会で現物配当を決議し、密封装置メーカーSKMに受取電子記録債権を現物配当
平成29年3月17日 株式譲渡契約を締結(譲渡日は同月30日と定める)
平成29年3月31日 株式譲渡契約に基づき、子会社2社の株式を持株会社HDCに譲渡
令和5年1月26日 株主RHK氏が監査役に提訴請求。会社は訴えを提起せず
令和5年4月22日 専務取締役ATK氏が死亡
令和5年5月25日 株主RHK氏が本件訴訟を提起
令和5年9月9日 被告らに対する最終の訴状送達の日の翌日(遅延損害金の起算日として請求された日)
令和6年9月12日 東京地方裁判所が請求をいずれも棄却する判決

株式譲渡契約では譲渡日が平成29年3月30日と定められていましたが、判決本文は、実際の譲渡は同月31日にされたと記載しています。いずれも判決本文の記載のとおりです。

取締役会に示された資料と本件算定報告書の内容

本件は契約条項の解釈が問題となった事案ではなく、取締役会がどのような資料に基づいて価格を決めたかが問われた事案です。以下は、判決本文が認定した取締役会の説明資料と本件算定報告書の内容です。

取締役会の説明資料

判決本文は、説明資料に「要旨、以下の記載があった」として、次の文言を掲げています(説明資料そのものの逐語の写しではなく、判決が要旨として記載したものです。子会社名・会社名は本記事の表記に置き換えています)。

「この度、資本政策の見直しを行い、合わせて意思決定の迅速化を図るため、当社が保有する子会社、〔製造子会社FKT〕1600株及び〔製造子会社GNS〕1600株を下記のとおり譲渡したくご承認のほど、お願い申し上げます。」

このあとに「記」として、譲渡先(持株会社HDC)、譲渡日(平成29年3月30日)、譲渡金額(製造子会社GNSが1億5300万円、製造子会社FKTが3700万円、合計1億9000万円)が掲げられ、「両社貸借対照表参照:時価純資産法による算出」として税理士法人ZRHの名が記載されていました(この段落は当事務所による要約です)。

説明資料には、本件算定報告書の添付資料である「修正簿価純資産法評価シート」と同じ内容のシートが添付されていました。そのシートには、平成29年1月末時点の子会社2社の貸借対照表の資産と負債について、修正後の評価額が「修正後残高」欄に、修正の説明が「コメント」欄に記載されていました。取締役会では、代表取締役YKM氏が、譲渡金額は税理士法人ZRHが時価純資産法により算出した金額によるものであることを説明しています。

本件算定報告書の評価結果と評価手法

項目 判決本文が認定した内容
評価結果 平成29年1月31日時点で、製造子会社FKTの株式が3702万1000円、製造子会社GNSの株式が1億5326万4000円
留意事項 平成29年2月28日の臨時株主総会で承認予定の受取電子記録債権の現物配当(製造子会社FKTは2億6601万4795円、製造子会社GNSは4億2692万2503円)が行われることを前提に算定
評価手法の選択理由 「評価目的で想定されている取引はグループ内の取引であるため、評価の客観性を重視し、ネットアセット・アプローチ(修正簿価純資産法)を採用した。」
算定方法 子会社2社が作成した平成29年1月末時点の貸借対照表を基に、時価による再評価を行って株式価値を算定
土地 倍率方式で相続税評価額を算定し、100分の80で割り戻して時価評価(評価基準日から遡って3年以内に取得したものは帳簿価額を時価とみなす)
建物 固定資産税評価額により時価評価(3年以内に取得したものは帳簿価額を時価とみなす)
建物附属設備 建物と一体評価のためゼロ評価
繰延税金資産 資産性が乏しいためゼロ評価
繰延税金負債 土地及び建物の含み益に対して37%を将来の税負担として評価
未払配当金 平成29年2月28日決議予定の現物分配額を計上

当事務所の計算では、各社の譲渡金額は、本件算定報告書の各社の評価額(合計1億9028万5000円)の100万円未満を切り捨てた額に一致します。判決は、取締役会が本件算定報告書の内容に沿った譲渡価格で決議したと認定しています。

当事者の請求と主要な主張

株主RHK氏の請求

株主RHK氏は、会社法847条3項に基づき、密封装置メーカーSKMに対して次の金額を支払うよう求めました。遅延損害金は、いずれも令和5年9月9日から支払済みまで年3%の割合によるものです。

被告 請求額(会社に支払うよう求めた額)
代表取締役YKM氏、取締役NGS氏、取締役MRT氏、取締役KSW氏、取締役HDO氏 連帯して22億1200万円
相続人EMK氏(法定相続分2分の1) 11億0600万円(ほかの被告らと一定の限度で連帯)
相続人KTR氏、相続人MNM氏(法定相続分各4分の1) 各5億5300万円(ほかの被告らと連帯)

22億1200万円は、株主RHK氏が主張する平成29年2月27日時点の子会社2社の株式の評価額合計24億0200万円と、譲渡金額1億9000万円との差額です。

争点1―取締役ら6名の善管注意義務違反等の有無

論点 株主RHK氏の主張 被告ら及び密封装置メーカーSKMの主張
判断の枠組み 取締役ら6名の判断の過程及び内容に著しい不合理があり、善管注意義務違反及び忠実義務違反により会社に対する損害賠償責任を負う 会社の資産である株式を、いつ、いかなる相手に、いかなる価格で売却するかは経営者の経営上の専門的判断に委ねられており、決定の過程及び内容に著しく不合理な点がない限り、義務違反にはならない
譲渡の内容 子会社2社の2期分の純利益にも及ばない極めて低廉な価格での譲渡であり、毎年継続的に収益を上げることが見込まれる国内製造拠点の支配権を喪失させるものである 外部の専門家が選定した株式価値の評価に基づく適正価格での売却である。譲渡後も子会社2社との間で円滑な取引が行われており、事業運営上の不利益も生じていない
株価の不当な形成 代表取締役MTK氏は、経営理念をめぐって意見が合わなかった株主RHK氏を経営から排除するため、持株会社HDCを設立し、金融機関MBK等の融資で主要株主から株式を買い取り、さらに子会社2社を持株会社HDCに売却してその配当を融資の返済原資とする計画を立てた。買収価格を下げるため、稼働能力に変化がないのに現物配当で子会社2社の純資産を下げ、不当に廉価な株価を形成した (判決本文の整理では、この点に対する個別の反論は記載されていません)
評価手法 DCF法その他の適用可能な評価手法を採用して総合的に検討すべきで、修正簿価純資産法のみを採用する理由はない。代表取締役MTK氏は持株会社HDCの借入金23億円を連帯保証し、3億円の劣後ローンを供しており、持株会社HDCは同氏そのものであるから、グループ内取引とはいえない。対象会社は親会社の収益予想と連動する事業計画を策定していた蓋然性が高く、将来予測が困難な理由もない 取引の性質や、子会社2社に信頼するに足る中長期の事業計画がないことを勘案し、税理士法人ZRHが専門家の判断として修正簿価純資産法を採用したもので、問題はない
意思決定の過程 決議に加わらなかった専務取締役ATK氏も、子会社2社の代表取締役を兼ねる専務取締役として、決議に至る過程に積極的に関与した 非上場会社の株式価値の算定は専門家にも難しく、営業や技術の出身者で構成される取締役会が自ら評価することは不可能であったため、外部の専門家に依頼し、その結果を取締役会で示したうえで決定した。報告書に気付くべき明らかな誤りはなく、税理士法人ZRH、同法人から相談を受けた弁護士法人、取締役会に出席した弁護士である監査役から、法的な問題の指摘もなかった
売却の目的 説明資料の目的は意思決定の迅速化と資本政策の見直しであるが、子会社2社を手放せば直接の支配関係が失われ、意思決定の迅速化は図れない。子会社2社は持株会社HDCの借入金返済のために毎年の配当を課され、経営の自由度を失う。資本政策の見直しの内容は資料に一切触れられていない (上記の過程と内容の主張のとおり、決定に著しい不合理はない)

株主RHK氏は、本件譲渡は、取締役ら6名、持株会社HDC及び金融機関MBKが画策し、代表取締役MTK氏と持株会社HDCという一部の株主の利益を図るために行われた低廉譲渡であると主張しました。これらは株主RHK氏の主張であり、判決が認定した事実ではありません。

争点2―会社に生じた損害の有無及びその額

株主RHK氏は、子会社2社の株式の評価額は合計24億0200万円であり、差額の22億1200万円が会社の損害であると主張しました。被告ら及び密封装置メーカーSKMは、この評価額について、フリー・キャッシュ・フローの算定が実際の事業計画等に基づかず予測としても楽観的であること、加重平均資本コスト(WACC)の算出で子会社2社が非上場の中小企業であることが捨象され、一般的でない財務状況の類似上場企業が参照されているため過少に算出されていること、非流動性ディスカウントを行っていないことから、株式価値が過大に見積もられていると反論しました。

結論を左右した争点

判決は、争点を、取締役ら6名の善管注意義務違反等の有無(争点1)と、会社に生じた損害の有無及びその額(争点2)の2つに整理しました。結論を左右したのは争点1であり、判決は、善管注意義務違反等が認められないとして、「その余の点について判断するまでもなく」請求を棄却しました。争点2の損害、すなわち株主RHK氏が主張した24億0200万円という評価額の当否については判断していません。

争点1の中で判決が重視したのは、次の3点です。

  1. 非上場会社の株式を譲渡する際の譲渡価額の決定について、取締役の善管注意義務違反をどのような基準で判断するか。
  2. 本件算定報告書が「客観的資料に基づく一応合理的な算定方法」によるものといえるか。特に、DCF法を用いず修正簿価純資産法だけを採用したことが不合理といえるか。
  3. 現物配当による株価の引下げ、持株会社HDCと代表取締役MTK氏の同一性、売却の目的といった株主RHK氏の指摘する事情が、「特別の事情」又は著しい不合理に当たるか。

お手元の資料と経緯をお聞きし、進め方の順序をお示しします。

裁判所が示した判断の枠組み

非上場株式の評価には、確立した判断基準がない

判決は、まず、非上場会社の株価の算定をめぐる状況について、次のように述べました。

「非上場会社の株価の算定については、簿価純資産法、時価純資産法、配当還元法、収益還元法、DCF法、類似会社比準法など様々な評価手法が存在しているのであって、どのような場合にどの評価手法を用いるべきかについて明確な判断基準が確立されているというわけではない。」

さらに、個々の評価手法にも、将来の収益やフリー・キャッシュ・フロー等の予測値、還元率や割引率等の数値、類似会社の範囲など、ある程度の幅のある判断要素が含まれていることが少なくないと指摘しました。

客観的資料に基づく一応合理的な算定方法によれば、特別の事情がない限り義務違反にならない

そのうえで、判決は、本件の判断の中心となる基準を次のとおり示しました。

「株価の算定に関する上記のような状況に鑑みると、取締役が、非上場会社の株式の譲渡に際し、客観的資料に基づく一応合理的な算定方法によって譲渡価額を決定した場合には、特別の事情がない限り、その決定の過程及び内容に著しく不合理な点があるとは認められず、取締役としての善管注意義務及び忠実義務に違反するものではないと解するのが相当である」

判決は、この基準の参照判例として、最高裁判所平成22年7月15日判決と最高裁判所平成27年2月19日判決を挙げています。

この枠組みを整理すると、次のとおりです。

区分 判決の示した内容
前提 非上場株式の評価手法の選択に明確な判断基準はなく、各手法にも幅のある判断要素が含まれる
要件1 算定が客観的資料に基づいていること
要件2 一応合理的な算定方法によって譲渡価額を決定したこと
効果 特別の事情がない限り、決定の過程及び内容に著しく不合理な点があるとは認められず、善管注意義務及び忠実義務に違反しない
譲渡自体の判断 価格の決定に著しい不合理がないことを前提に、譲渡を行うこと自体の決定にも著しい不合理はないとされた

裁判所が認定した重要な事実と本件への当てはめ

算定は客観的資料に基づいていた

判決は、税理士法人ZRHが、子会社2社の計算書類や資産の固定資産税評価額等に基づいて株式価値を算定したことから、本件算定報告書の算定は客観的資料に基づいていたということができるとしました。

修正簿価純資産法は「一応合理的な算定方法」であった

判決は、税理士法人ZRHが、持株会社HDCが密封装置メーカーSKMの株式を約40.72%保有する会社であることから本件譲渡をグループ内取引と評価して修正簿価純資産法を採用し、子会社2社が保有する土地及び建物等の資産について時価による再評価を行ったうえで、各社の株式の評価額を算定したことを認定しました。そして、次のように述べています。

「本件のような場合に修正簿価純資産法が適さないとは一概にはいい難く、本件価値算定報告書においては、一応合理的な算定方法によって譲渡価額が決定されていたということができる。」

引用中の「本件価値算定報告書」は、本記事でいう本件算定報告書を指します。

取締役会は報告書の内容に沿って決議し、特別の事情もうかがわれない

判決は、取締役会において、本件算定報告書の内容を踏まえて、その内容に沿った譲渡価格で株式を譲渡する旨の決議がされたこと、上記の特別の事情に当たるような事実もうかがわれないことを指摘しました。そのうえで、次のとおり結論付けています。

「以上によれば、本件譲渡における譲渡価格の決定の過程及び内容に著しく不合理な点があるとは認められない。そして、このことを前提とすると、本件譲渡を行うこと自体についての決定の過程及び内容に著しく不合理な点があるとも認められない。」

判決は、価格の決定の当否をまず判断し、それを前提として、子会社2社を手放すという譲渡そのものの判断についても著しい不合理はないとしています。子会社2社の支配権を失うことの経営上の当否を独立に詳しく検討する形はとっていません。

各主張を採用し又は排斥した理由

現物配当による株価の不当な引下げ―裏付ける証拠がない

株主RHK氏は、子会社2社の株価を下げるために現物配当が行われ、株価が不当に廉価に形成されたと主張しました。判決は、株価を不当に廉価にするために現物配当が行われたこと、これにより株価が不当に廉価に形成されたことを認めるに足りる証拠はないとしました。

株主RHK氏は、代表取締役YKM氏、専務取締役ATK氏、税理士法人ZRH、コンサルタント及び金融機関MBKの担当者が株価を不当に廉価にするために会議を重ねていたことの根拠として、持株会社の設立スキームを説明する書面を提出していました。判決は、この書面について、次のように述べています。

「同書面は、その作成経緯が不明である上、その記載内容を見ても原告が主張する上記会議が行われていたことを裏付けるものとはいえない。」

引用中の「原告」は株主RHK氏を指します。

修正簿価純資産法の採用―著しく不合理とはいえない

株主RHK氏は、DCF法その他の手法による総合的な検討をすべきであり、修正簿価純資産法だけを採用したことは著しく不合理であると主張しました。判決は、上記の当てはめのとおり、修正簿価純資産法の採用は一応合理的な算定方法によるものであり、著しく不合理とはいえないとしました。

持株会社HDCは代表取締役MTK氏そのものであり、グループ内取引ではないとの主張については、判決は括弧書きで次のように述べて退けています(当事者の呼称を本記事の表記に置き換えています)。

「〔代表取締役MTK氏〕が〔持株会社HDC〕の債務を連帯保証し〔持株会社HDC〕に対して劣後ローンを供していたことをもって、〔持株会社HDC〕と〔代表取締役MTK氏〕を同一視することはできない。」

なお、DCF法を採用しない理由として事業計画がなく将来予測が困難であったかどうかについて、判決は、当事者の主張の対立を個別に認定して判断したものではありません。修正簿価純資産法が「本件のような場合に」適さないとは一概にいい難いという判断で足りるとしています。

売却の目的―著しく不合理な目的とはいえない

株主RHK氏は、意思決定の迅速化や資本政策の見直しという説明資料の目的が実態に合わないと主張しました。判決は、譲渡価格の決定の過程及び内容に著しく不合理な点があるとは認められないとしたうえで、次のように述べました。

「対象2社の株式の売却(本件譲渡)が著しく不合理な目的によってされたというべき事情は見当たらない。」

引用中の「対象2社」は子会社2社を指します。判決は、説明資料に資本政策の見直しの具体的な内容が記載されていないという指摘について、個別に論じてはいません。

決議に加わらなかった専務取締役ATK氏について

株主RHK氏は、決議に加わらなかった専務取締役ATK氏についても、決議に至る過程に積極的に関与したとして責任を主張し、その相続人3名を被告としました。判決は、取締役ら5名が決議を行ったことも、専務取締役ATK氏を含む取締役ら6名が決議に至る過程に関与したことも、善管注意義務及び忠実義務に違反するものであったとは認められないとしました。専務取締役ATK氏の関与の具体的な内容を独立に認定したうえでの判断ではなく、譲渡の決定そのものに著しい不合理がないことから、関与した者すべてについて義務違反を否定したものです。

主文及び結論

判決の主文は、「原告の請求をいずれも棄却する。」「訴訟費用(補助参加によって生じた費用を含む。)は原告の負担とする。」というものです(「原告」は株主RHK氏を指します)。

判決は、本件譲渡の決定の過程及び内容に著しく不合理な点があるとは認められず、取締役ら6名の善管注意義務及び忠実義務の違反は認められないとして、損害(争点2)について判断するまでもなく、請求をいずれも棄却しました。控訴の有無及び結果、確定の有無は確認できていません。

判断の射程

以下は、判決の内容を踏まえた当事務所の評価です。判決が述べた事項と区別してお読みください。

参考となる点

  • 非上場株式の譲渡価格について、取締役の責任を判断する基準が示されたこと。本判決は、取締役が客観的資料に基づく一応合理的な算定方法によって譲渡価額を決定した場合には、特別の事情がない限り、善管注意義務及び忠実義務に違反しないとしました。子会社株式などの非上場株式を譲渡する会社・役員にとっては、外部の専門家による算定を取得し、その算定に沿って取締役会で価格を決めるという手順が、株主代表訴訟で価格の妥当性を争われた場合の防御の中心になることを示した判断といえます。
  • 評価手法の選択に幅が認められたこと。判決は、評価手法の選択に明確な判断基準がないことを前提に、DCF法を用いず修正簿価純資産法だけを用いた算定も、「本件のような場合に」適さないとは一概にいい難いとしました。株主側がDCF法による高い評価額を示しても、そのことだけで会社の側の算定が不合理とされるわけではないことを示しています。
  • 取締役会に算定の根拠資料が示されていたこと。本件では、取締役会の説明資料に、算定の根拠である修正簿価純資産法の評価シートと同じ内容のシートが添付され、資産・負債の修正後残高とその説明が記載されていました。判決は、取締役会が報告書の内容を踏まえて決議したことを認定しています。結論だけでなく算定の根拠を取締役会に示し、議事録や資料で記録に残しておくことが、決定の過程の合理性を示す材料になると考えられます。
  • 株価を不当に引き下げたとの主張には、具体的な証拠が求められたこと。譲渡の直前に子会社から親会社へ多額の現物配当が行われていましたが、判決は、株価を不当に下げる目的で現物配当が行われたことを認めるに足りる証拠はないとしました。作成経緯が不明な書面だけでは、そうした計画の存在は認められていません。
  • 譲受人の代表者が親会社の役員の親族であっても、直ちに同一視されなかったこと。判決は、代表取締役MTK氏が持株会社HDCの借入金を連帯保証し、劣後ローンを供していたことをもって、持株会社HDCと同氏を同一視することはできないとしました。
  • 会社が取締役の側に補助参加して争ったこと。本件では、会社は提訴請求を受けても訴えを提起せず、株主代表訴訟には補助参加人として被告らの側で主張しました。主文は、補助参加によって生じた費用も原告の負担としています。会社と取締役の利害が対立し得る株主代表訴訟で、会社がどの立場で関与するかは、事前に検討しておく必要がある事項です。

一般化できない点

  • 本判決は、税理士法人による算定が計算書類や固定資産税評価額等の客観的資料に基づいていたこと、取締役会が報告書の内容に沿った価格で決議したこと、株主が主張した不当な目的を裏付ける証拠がなかったことといった、本件の具体的な事情を踏まえた判断です。算定の前提となる資料に誤りがあった場合、取締役が算定の問題点を認識していた場合、算定を依頼する際に評価額について不当な働きかけがあった場合などは、「特別の事情」として評価が異なる可能性があります。判決は、どのような事情が「特別の事情」に当たるかを具体的には示していません。
  • 判決は、損害(争点2)について判断していません。株主RHK氏が主張したDCF法による24億0200万円の評価額や、被告側が指摘した将来予測、WACC、非流動性ディスカウントの当否について、本判決から結論を導くことはできません。
  • 本件では、譲渡の直前に子会社2社から親会社に合計6億9293万7298円(当事務所の計算)の電子記録債権が現物配当されており、算定はそれを前提としていました。判決は、この現物配当と譲渡価格を合わせて会社が受け取った経済的価値をどう評価するかという観点からは論じていません。
  • 譲受人である持株会社HDCの代表取締役は、株主RHK氏の母親である代表取締役MTK氏でした。判決本文では、本件譲渡が会社法上の利益相反取引に当たるかどうかは争点とされておらず、判断されていません。また、判決本文の前提事実は同氏を密封装置メーカーSKMの代表取締役として記載していますが、平成29年2月の取締役会の出席者には含まれておらず、譲渡当時の同氏の役職は判決本文からは明らかではありません。
  • 本件の譲渡は平成29年3月に行われ、提訴請求は令和5年1月、提訴は同年5月でした。判決は、時の経過に関する問題(消滅時効等)について論じていません。
  • 判決は、子会社2社の支配権を失うこと自体の経営上の当否を、価格の決定とは別に詳しく検討していません。価格の決定に著しい不合理がないことを前提として、譲渡を行うこと自体の決定にも著しい不合理はないとしたものです。
  • 本判決は第一審の判決であり、控訴の有無及び結果、確定の有無は確認できていません。

株主代表訴訟を提起された会社・役員が確認しておきたいこと

本判決を踏まえると、非上場株式の譲渡について株主代表訴訟を提起され、又は提訴請求を受けた会社・役員の側では、次の点を整理しておくことが考えられます。いずれも本判決を踏まえた当事務所の着眼点であり、本判決がこれらを判断したものではありません。

  • 算定の基礎資料の確認。本判決は、算定が計算書類や固定資産税評価額等の客観的資料に基づいていたことを重視しました。算定報告書がどの資料に基づいて作成されたかを確認し、資料をそろえておくことが重要です。
  • 評価手法を選択した理由の記録。本件の報告書は、グループ内の取引であるため評価の客観性を重視したという選択理由を記載していました。評価手法の選択理由が報告書に書かれているか、会社の取引の性質に合っているかを確認しておくことが考えられます。
  • 取締役会での説明と記録。本件では、説明資料に評価シートと同じ内容のシートが添付されていました。取締役会で算定の根拠を示し、議事録に説明の内容を残しておくことが、決定の過程の合理性を示す材料になります。
  • 特別利害関係のある取締役の取扱い。本件では、子会社2社の代表取締役を兼ねる取締役が審議に加わりませんでしたが、決議に至る過程への関与を理由に、その相続人が被告とされました。決議に加わらなかった取締役についても、関与の経過を記録しておくことが考えられます。
  • 提訴請求を受けたときの会社の対応。本件では、会社は提訴請求を受けても訴えを提起せず、代表訴訟では補助参加人として取締役の側で主張しました。提訴請求を受けた段階で、監査役等が責任の有無を調査し、訴えを提起するかどうかの判断の理由を整理しておくことが重要です。

よくあるご質問

子会社の株式を関係会社に譲渡する場合、外部の専門家に株価を算定してもらえば、取締役の責任は問われませんか。

本判決は、取締役が客観的資料に基づく一応合理的な算定方法によって譲渡価額を決定した場合には、特別の事情がない限り、善管注意義務及び忠実義務に違反しないとしました。外部の算定を取得したことだけで当然に責任を免れるわけではなく、算定が客観的資料に基づき、算定方法が一応合理的であること、特別の事情がないことが必要です。

DCF法を用いずに純資産法だけで株価を算定したことは、問題になりますか。

本判決は、非上場株式の評価手法の選択には明確な判断基準が確立されていないとしたうえで、グループ内取引と評価して修正簿価純資産法を採用した本件の算定について、本件のような場合に適さないとは一概にいい難いとし、一応合理的な算定方法であると判断しました。ただし、どの手法が適するかは取引の性質や会社の状況によります。

株主から、DCF法による高い評価額との差額を損害として請求された場合はどうなりますか。

本件では、株主が24億0200万円という評価額を前提に差額22億1200万円を請求しましたが、判決は、取締役の義務違反が認められないとして、損害の額については判断しませんでした。株主の示す評価額が高くても、まず取締役の価格決定の過程と内容が合理的であったかが問われます。

譲渡の直前に子会社から親会社へ配当をしたことは、株価の不当な引下げとされますか。

本件では、譲渡の前日に子会社2社から親会社へ電子記録債権の現物配当が行われ、算定はそれを前提としていました。株主は株価を不当に下げるためのものと主張しましたが、判決は、そのことを認めるに足りる証拠はないとしました。配当の目的や経緯を説明できるようにしておくことが重要です。

決議に加わらなかった取締役も、株主代表訴訟で責任を追及されることがありますか。

本件では、特別利害関係者として決議に加わらなかった取締役についても、決議に至る過程に関与したとして責任が主張され、同人の死亡後はその相続人が法定相続分に応じた額で被告とされました。判決は、譲渡の決定に著しい不合理がないとして、この取締役についても義務違反を認めませんでした。

提訴請求を受けた会社は、株主代表訴訟でどのような立場をとることができますか。

本件では、会社は提訴請求を受けても訴えを提起せず、株主代表訴訟には補助参加人として参加し、被告である取締役らの側で主張をしました。会社と取締役の利害が対立し得る場面であるため、会社がどの立場で関与するかは、監査役等の判断の過程を含めて慎重に検討する必要があります。

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執筆者

弁護士法人M&A総合法律事務所 代表弁護士 土屋勝裕(東京弁護士会所属 登録番号26775)

2024年(令和6年)10月に最高裁判所において株式買取請求権に関する逆転判決を得た弁護士です。長島・大野・常松法律事務所に在籍した後、慶應義塾大学ビジネス・スクール及びペンシルベニア大学ウォートン校に留学し、ファイナンス理論並びにM&A及び不動産を専攻しました。不動産投資信託(J-REIT)の上場案件にも関与しています。

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著書

非上場会社における少数株主対策の手法と実務
『非上場会社における少数株主対策の手法と実務』(日本法令)
中堅・中小企業のためのM&Aトラブル事例と実務対策
『中堅・中小企業のためのM&Aトラブル事例と実務対策』(清文社)
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