スクイーズアウトとは?実施する方法や流れを解説!
スクイーズアウトは少数株主の承諾を得ることなく保有株式を強制的に取得する経営方法で、少数株主を排除することで経営陣や親会社の支配権を強化するために行われます。少数株主排除ともいわれています。
会社経営においては、少数株主が存在すると、少数株式に付帯する少数株主権を行使したり、株式に関する権利を主張するため、迅速かつ効率的な経営を実現できないこともあり、このようなスクイーズアウト(少数株主排除)の制度が存在します。
スクイーズアウトの具体的な方法は4つで、①株式等売渡請求、②株式併合、③株式交換及び④全部取得条項付種類株式の少数株主排除の方法があります。
これらの方法で、少数株主から株式を強制的に取得して排除することができます。ただ、スクイーズアウト(少数株主排除)の手法は、会社や大株主によって少数株主から非常に安い価格で株式を強制的に取得したり、少数株主の株式に関するその他の権利を侵害する可能性があるため、少数株主保護の観点から会社法において手続きが規定されています。
本記事では、スクイーズアウト(少数株主排除)のメリットや具体的な方法について解説していきます。スクイーズアウト(少数株主排除)について詳しく知りたい方は、この記事を参考にしてみてください。
スクイーズアウトとは?
スクイーズアウト(少数株主排除)とは、少数株主の承諾を得ることなく、保有株式を強制的に取得する手法です。株主が多くなり、株式が分散している場合に実施されることが多くなっています。
株主は株式を保有することで、株主総会で議案や議題を提案する権利を得ることができます。株主が得られる権利は、3%以上の議決権で「会計帳簿を閲覧などの請求をする権利」、10%以上で「会社解散請求権」などです。
また、「総会検査役」の選任を裁判所に請求する権利や会計帳簿の閲覧権も生じます。総会検査役とは、株主総会の招集手続や決議方法を調査することです。
また、そうでなくても、株主は、株主総会で議決権を行使することができたり、配当金を得たりすることができ、同族会社などにおいて、株主は、株主総会外においても、経営陣に対して様々な要望を行い、少数株主が存在すると迅速かつ効率的な経営に支障を生じます。
そのため、スクイーズアウト(少数株主排除)を行うことで、少数株主を排除し経営権を強化することができます。
スクイーズアウトの目的
スクイーズアウト(少数株主排除)の目的は、敵対的株主の排除や、大株主と経営陣の支配権を強化することです。また、組織再編による事業活性化を視野に入れて行うこともあります。
スクイーズアウト(少数株主排除)を行うことで、敵対する株主がいなくなり円滑で自由な経営ができるようになります。そのため、大株主は少数株主を排除して株式を100%保有しておくと良いでしょう。
ただし、スクイーズアウト(少数株主排除)は少数株主から対抗されることもあります。詳しくは後述しますが、注意が必要です。
スクイーズアウト(少数株主排除)の必要性は理解したが、実際に行う方法が分からないという方もいるでしょう。そのため、ここからはスクイーズアウト(少数株主排除)の具体的な方法について解説していきます。
スクイーズアウトの方法は4つ
スクイーズアウト(少数株主排除)の方法は4つで以下の通りです。
・株式等売渡請求
・株式併合
・株式交換
・全部取得条項付種類株式
スクイーズアウト(少数株主排除)の方法は4つありますが、近年の選択肢としては「株式等売渡請求」と「株式併合」が多くなっています。
スクイーズアウト(少数株主排除)の方法について分かりやすいようにそれぞれ詳しく解説していきます。
株式等売渡請求
スクイーズアウト(少数株主排除)の方法、1つ目は「株式等売渡請求」です。
株式等売渡請求は、90%以上の議決権を持っている特別支配株主のみ利用できます。特別支配株主が会社の承認を得た上で他の株主の株式を買い取ることができます。
最終的には100%の株式を保有することができるので、完全子会社化する時に利用する方法です。
この方法は、株主総会の決議が必要ありません。対象会社からの承認は、以下のように完結します。
・取締役会設置会社であれば取締役会決議
・取締役会非設置会社では過半数の取締役の合意
そのため、株式等売渡請求は迅速に請求でき最短20日程度でスクイーズアウト(少数株主排除)を成立させることができます。
株主への説明と通知義務に留意
株式等売渡請求を実行するポイントは、排除される株主の保護に配慮する必要があることです。法令では、少なくとも大株主が株式を取得する日の20日前までに、株式を取得する株主に対して所定の通知または公告を行わなければなりません。
また、通知または公告の日から取得日後1年の間(公開会社については6か月)、所定の事項を記載した書面を据え置き、情報開示する必要があります。
種類株式発行会社は「株主総会の決議」が必須
種類株式を発行する会社は、権利行使で損害が生じる可能性がある時には種類株主総会の決議が必須です。
株主総会の決議が必要ですので、株式等売渡請求のような迅速性はありません。
株式併合
スクイーズアウト(少数株主排除)の方法、2つ目は「株式併合」です。
株式併合は、複数の株式を1つにまとめる方法で2/3以上の議決権を持っている株主である場合に利用できます。
少数株主の保有株式が1株未満になるように調整することで、その株式は端株となり株式としての効力は失われます。そのため、保有株式が1株未満の端株になると少数株主は株主としての権利を行使できません。
株式併合を利用するには、株主総会の特別決議を経る必要があります。特別決議とは、議決権の過半数を持っている株主が出席する決議方法です。出席した株主が議決権数2/3以上の賛成を得ることで可決されます。
株式併合を利用する時に株主総会で定めるべき4事項
株式併合を利用するには株主総会で定めるべき以下4事項があります。
・株式併合の割合
株式併合を行う前後の発行株式数の割合を決めることです。例としては「20株を株式併合し1株にする」といった感じになります。
・効力発生日
効力発生日は、株式併合が行われてから少数株主の保有株式が減る期日のことです。
・株式併合する株式の種類
種類株式を発行している会社は、その種類ごとに株式の併合が行われます。
・効力発生日における発行可能株式総数
この事項を決めておくことで、株式併合の効力発生と同時に、発行可能株式総数に関する定款変更が行われたとみなされます。
その数については法令上、公開会社については、効力発生日における発行済株式総数の4倍以内と定められています。
株主への通知と情報開示義務に留意
株式併合を利用する時は、効力発生日の20日前までに全株主に対して個別に「端株処理方法」や「株式併合の条件等」を含む所定事項を通知しなければなりません。
また、少なくとも株主総会の2週間前から効力発生後6か月間は、所定の事項を記載した事前備置書類で情報開示する必要もあります。
他に、有価証券報告書提出会社の業務を執行する機関は、株式併合により株主が25名未満となる見込みがある場合、株主総会の前に臨時報告書を提出しなければなりません。
また、効力発生日から6か月の間、所定の事項を記載した事後備置書面を設置し、情報開示する必要があります。
株式交換
スクイーズアウト(少数株主排除)の方法、3つ目は「株式交換」です。
株式交換は、他会社の全発行済株式を自社の株式と交換する方法で、会社が出資している子会社について利用できます。
子会社の株式を親会社が取得するという形で活用し、100%株主になることができるので、完全子会社化する時に利用される方法です。株式交換は、2/3以上の議決権による株主総会決議で実行できます。
現金対価での株式交換も可能
株式交換の場合、本来、子会社の株主には親会社の株式が交付されますので、スクイーズアウト(少数株主排除)になりません。しかし、子会社の株主には親会社の株式を交付せずに、現金を交付する現金対価株式交換という制度もあり、この方法により、スクイーズアウト(少数株主排除)が可能なのです。
平成29年度の税制適格要件の見直しが行われたことで、スクイーズアウト(少数株主排除)を実施する時の選択肢として利用されるようになりました。
ただ、税制価格要件として「適格組織再編は会社の支配関係が維持されている」ことが求められます。また、子会社の事業継続要件や、従業者継続要件(子会社従業員の約80%が引き続き従事すること)も満たさなければなりません。ただ、スクイーズアウト(少数株主排除)したい場合は、通常はこの要件を満たすと思います。
通知・情報開示・債権者保護手続に留意
効力発生日の20日前までに、全株主に対して所定事項を通知する必要があります。また、交換対象になる子会社の新株予約権がその社債に付されている場合は、原則として債権者保護手続が必要です。
さらに、株主総会の2週間前から、所定の事項を記載した事前備置書類で情報開示することが義務付けられています。
また、効力発生日から6か月の間、所定の事項を記載した事後備置書面を設置し、情報開示する必要があります。
全部取得条項付種類株式
スクイーズアウト(少数株主排除)の方法、4つ目は「全部取得条項付種類株式」です。
全部取得条項付種類株式は、種類株式の1種で少数株主から株式のすべてを強制的に取得できる方法で、株主総会を開催して議決権の2/3となる特別決議で可決されれば利用できます。
まず、発行株式のすべてを全部取得条項付種類株式に変更します。そして、少数株主に株式が残らないように比率を調整した上で普通株式を対価として買い上げる方法です。
株主総会の構成に制限がかかることもある
全部取得条項付種類株式に変更する場合は、構成員による種類株主総会でも特別決議が必須となっています。種類株主総会の構成員は以下の通りです。
・変更しようとする種類株式の株主
・変更しようとする種類株式を取得対価とする取得請求権付株式の株主
・変更しようとする種類株式を取得対価とする取得条項付株式の株主
株主への通知と情報開示義務に留意
株式を変更するときは株主総会2週間前には取得対価の相当性等について情報開示しなければなりません。また、他の方法と同じ様に株主が株式を取得する20日前までには通知(もしくは公告)する必要もあります。
ただし、全部取得条項付種類株式によるスクイーズアウト(少数株主排除)は、手続きが複雑であり、株式併合によるスクイーズアウト(少数株主排除)の手続きが整備されたため、現在においては、ほとんど使用されておりません。
スクイーズアウトのメリット
スクイーズアウト(少数株主排除)を利用する時は、状況や目的に合わせた方法を選びましょう。ここからは、実際にスクイーズアウト(少数株主排除)を利用するメリットやデメリットについて解説していきます。
スクイーズアウト(少数株主排除)を利用するメリットは大きく3つで以下の通りです。
・多数株主が効率良く意思決定できる
・税制上のメリットを得ることができる
・部外者による経営関与の防止ができる
スクイーズアウト(少数株主排除)のメリットについてそれぞれ詳しく解説していきます。
多数株主が効率良く意思決定できる
スクイーズアウト(少数株主排除)のメリット1つ目は、「多数株主が効率良く意思決定できる」ことです。
会社経営に関する意思決定は多数株主が主導しています。しかし、株主総会等では少数株主の意見にも配慮しなければならないため意思決定に時間がかかってしまいます。
そのため、スクイーズアウト(少数株主排除)を行い、株主の数を整理することで意思決定の効率を良くできるでしょう。
また、事務処理に関しても少数株主が多いほど手間がかかるので、その点でもスクイーズアウト(少数株主排除)は有効です。
少数株主に影響されることなく、円滑で自由に経営を行いたいなら保有株式を100%にするのが理想的でしょう。
税制上のメリットを得ることができる
スクイーズアウト(少数株主排除)のメリット2つ目は、「税制上のメリットを得ることができる」ことです。
スクイーズアウト(少数株主排除)は、完全子会社化する場合に組織再編税制と位置づけられるので、親会社は連結納税制度を適用することができます。
連結納税制度とは、企業グループ内でそれぞれの法人の損益などを集約し、企業グループを1つの法人と捉えて課税する仕組みです。
この制度により、承継する会社の繰越欠損金の損益通算が可能になるので、黒字の会社の利益分から赤字の会社の損失分を差し引くことができます。
そのため、スクイーズアウト(少数株主排除)を利用することで、納税額を減らすことができる場合もあります。
部外者による経営加入の防止ができる
スクイーズアウト(少数株主排除)のメリット3つ目は、「部外者による経営関与の防止ができる」ことです。
少数株主が経営に関心を持たない場合、株主譲渡を受けた第三者が経営に介入するリスクがあります。また、発起人制度の名残や相続によって株式分散が発生した場合も同様のリスクがあります。
そのため、スクイーズアウト(少数株主排除)を行い、株式を集約しておくことで第三者が介入するリスクの防止に繋がります。
スクイーズアウトのデメリット
次に、スクイーズアウト(少数株主排除)のデメリットについて解説していきます。
スクイーズアウト(少数株主排除)のデメリットは大きく以下の2つです。
・一定の株式を保有していなければ実行できない
・少数株主に対抗されることがある
スクイーズアウト(少数株主排除)を利用する際には、メリットだけでなくデメリットも知っておくべきでしょう。それぞれ詳しく解説していくので、参考にしてみてください。
一定の株式を保有していなければ実行できない
スクイーズアウト(少数株主排除)のデメリット1つ目は「一定の株式を保有していなければ実行できない」ことです。
スクイーズアウト(少数株主排除)の方法は先述しましたが、どの方法も議決権の2/3 以上は株主が株式を保有していなければ実行できません。
そのため、スクイーズアウト(少数株主排除)を議決権の2/3未満で行う場合には、TOB(公開買付け)や任意協議から始めるべきケースがあります。
ただし、この場合は他の株主に協力を求めて株式併合に賛成してもらうか株式を買い取って3分の2以上の議決権を確保することが必要です。
少数株主に対抗されることがある
スクイーズアウト(少数株主排除)のデメリット2つ目は「少数株主に対抗されることがある」ことです。
スクイーズアウト(少数株主排除)には少数株主を保護するための制度があるため、少数株主から対抗されることもあります。実際に少数株主が対抗したことで、裁判になったケースもあります。
少数株主は大株主の支配権に影響を及ぼす可能性があるので、大株主にとって少数株主を排除するメリットは大きいでしょう。
しかし、少数株主から対抗されるリスクもあるため、きちんと対抗策について知っておくべきです。そのため、ここからは少数株主の対抗手段について詳しく解説していきます。
少数株主の対抗手段とは?
少数株主の対抗手段は4つあり以下の通りです。
・差止請求
・価格決定申立権
・無効主張
・株主総会決議取消
スクイーズアウト(少数株主排除)には、少数株主を保護する制度もあり、実際に裁判になった事例もあります。そのため、その事例も紹介しながらそれぞれ詳しく解説していきます。
差止請求
少数株主の対抗手段1つ目は「差止請求」です。
差止請求とは、株式併合や株式交換・全部取得条項付種類株式による組織再編の時に、法令または定款に違反して少数株主が不利益を受ける恐れがある場合に事前に請求できる制度です。
また、株主等売渡請求の場合でも、通知あるいは情報開示義務違反等が疑われる時に取得をやめるよう請求することもできます。
ただ、法令または定款の違反として端株の対価が不当であることは該当しません。
価格決定申立権
少数株主の対抗手段2つ目は「価格決定申立権」です。
価格決定申立権とは、端株を保有することになった株主や株式交換・全部取得条項付種類株式の付与に反対する株主に与えられている権利です。
スクイーズアウト(少数株主排除)が行われても、この権利によって公正な価格で保有株式を買い取るように会社に請求することができます。
この価格決定を巡り行われた裁判があるので、2つの事例を紹介します。
レックスホールディングス事件
まずは、レックス・ホールディングス事件です。
レックス・ホールディングスは、レストラン「牛角」などを経営している会社で、MBO(自社株買い)を実施し、その段階にあたってTOB(公開買付け)を行いました。
これに反対した少数株主に対してスクイーズアウトを行ったが、その際の取得対価が不当に低いとして価格決定申立訴訟が開始されました。
結果として原告の主張は退けられましたが、スクイーズアウト実施時の株式取得対価は「将来に対する株価上昇の期待値(プレミアム)」を考慮しなければならないと明確にされています。
ジュピターテレコム事件
次に、ジュピターテレコム事件です。
ジュピターテレコム(JCOM)の大株主である住友商事とKDDIは、少数株主に対して全部取得条項付種類株式によるスクイーズアウトを実施した前例があります。これに対して少数株主は取得価格が不当に低いとして価格決定申立訴訟が開始されました。
結果として原告の主張は退けられましたが、判決ではプレミアムに加えて「取得日時点における客観的価値」を考慮しなければならないと明確にされました。
無効主張
少数株主の対抗手段3つ目は「無効主張」です。
無効主張とは、少数株主から大株主に対して訴えを提起することができる制度です。
スクイーズアウト(少数株主排除)の方法によって無効主張できる期間が決まっています。特別支配株主による株式等売渡請求の場合は取得日から1年以内、株式交換の場合は効力発生日から6ヶ月以内です。
株式交換の無効主張では無効事由が必須となっていますが、会社法で細かい定めはありません。
株主総会決議取消の訴え
少数株主の対抗手段4つ目は「株主総会決議取消」です。
株主総会決議取消とは、スクイーズアウト(少数株主排除)を実施する際に行う株主総会でコンプライアンス違反が認められる場合に少数株主が株主総会決議取消の訴えを提起できる制度です。
この時に認められるコンプライアンス違反は以下にまとめておきます。
・招集手続や決議方法の法令違反
・決議内容の定款違反
・著しい不公正
・特別利害関係人の議決権行使による著しく不当な決議
これに関しても実際の事例があるので紹介します。
アムスク事件
アムスクは外資系の半導体商社で自社株を取得し上場廃止しました。その際に全部取得条項付種類株式によるスクイーズアウト(少数株主排除)を実施しようとしたが、株主総会決議取消の訴えがなされました。
本件では原告の主張が認められ、その決議も取消処分となっています。そのため、アムスクはあらためて株主総会手続きをやり直し、法令に沿った方法で上場廃止に至っています。
スクイーズアウトにおける株価算定
スクイーズアウト(少数株主排除)における株価算定とは、会社が株式を集めるときに買い取る価格を決めることです。株式の買取価格は会社ではなく裁判所が決めることになります。
スクイーズアウト(少数株主排除)の株価算定を行う際は、裁判所に売却許可の申請をする必要があります。その申請をするために、公認会計士による株価の鑑定評価書を提出しなければなりません。
そのため、スクイーズアウト(少数株主排除)を行う際は、公認会計士から株式の評価額を確認しておきましょう。
スクイーズアウトを実施する際の流れ
ここからは、スクイーズアウト(少数株主排除)を実施する際の流れを解説していきます。
本記事では、スクイーズアウト(少数株主排除)の方法としてよく利用されている株式等売渡請求と株式併合だけでなく、株式交換の3つをそれぞれ解説していくので。参考にしてみてください。
株式等売渡請求の場合
まず、株式等売渡請求におけるスクイーズアウト(少数株主排除)の流れについて解説します。株式等売渡請求の手続きの流れは以下の4つです。
1、特別支配株主が株式取得日に買取価格を決めて株式等売渡請求することを会社に通知する
2、会社から株式等売渡請求することの承認を得る
3、特別支配株主が株式を取得する20日前までに株式等売渡請求がされ、会社が承認したことを少数株主に通知する
4、会社に通知した取得日に株式が特別支配株主に移転する
以上の4つを行い、最後に特別支配株主から少数株主に代金を支払うことでスクイーズアウト(少数株主排除)は完了します。
なお、株主が株式売渡価格に不満の場合、株主は裁判所に株式売買価格決定の申立を行うことができ、裁判所が株式売買価格を決定することとなります。
株式併合の場合
次に、株式併合におけるスクイーズアウト(少数株主排除)の流れについて解説します。株式併合の手続きの流れは以下の4つです。
1、株主総会で株式併合の決議をする
2、株主に対して個別の通知を送る
3、裁判所に端株売却許可を申請する
4、裁判所の端株売却許可が決定されたら株式の買取価格を支払う
株式併合におけるスクイーズアウト(少数株主排除)の場合は、その他に事前備置書類や事後備置書類の設置が必要であるなど手続きは複雑となります。また、裁判所に端株売却許可の申請も必要です。
なお、株主が株式買取価格に不満の場合、株主は反対株主の株式買取請求権を行使したうえで、裁判所に株式買取価格決定の申立を行うことができ、裁判所が株式買取価格を決定することとなります。
株式交換の場合
最後に、株式交換におけるスクイーズアウト(少数株主排除)の流れを解説します。株式交換の手続きの流れは以下のとおりです。
1、株式交換契約を締結する
2、取締役会における決議をする
3、株主総会の特別決議を得る
4、少数株主の株式の買取価格を支払う
株式交換におけるスクイーズアウト(少数株主排除)は、その他に事前備置書類や事後備置書類の設置が必要であるなど手続きは複雑となります。
なお、株主が株式買取価格に不満の場合、株主は反対株主の株式買取請求権を行使したうえで、裁判所に株式買取価格決定の申立を行うことができ、裁判所が株式買取価格を決定することとなります。
スクイーズアウト(少数株主排除)を実施する際の注意点
スクイーズアウト(少数株主排除)を実施する際に、注意しておかなければならないこともあります。そのため、ここからはスクイーズアウト(少数株主排除)の注意点について解説していきます。
スクイーズアウト(少数株主排除)を実施する際の注意点は以下の3つです。
・スケジュールに余裕を持つ
・資金が必要になる
・少数株主から対抗されるリスクがある
以上の注意点について、それぞれ詳しく解説していきます。
スケジュールに余裕を持つ
スクイーズアウト(少数株主排除)の注意点1つ目は「スケジュールに余裕を持つ」ことです。
スクイーズアウト(少数株主排除)を実施する際にはかなり時間がかかります。比較的スピーディに行うことができる株式等売渡請求でも、20日間以上の期間が必要です。
スクイーズアウト(少数株主排除)の方法にもよりますが手続きが完了するまでに2ヶ月ほど時間がかかります。そのため、スケジュールには余裕を持っておくようにしましょう。
資金が必要になる
スクイーズアウト(少数株主排除)の注意点2つ目は「資金が必要になる」ことです。
スクイーズアウト(少数株主排除)は最終的に少数株主の株式を買い取ることになります。株式の買取価格に関しては、株価によって異なりますが、多額の資金が必要になります。
そのため、スクイーズアウト(少数株主排除)を実施する前に資金の計画をきちんと立てておきましょう。
少数株主から訴えられるリスクがある
スクイーズアウト(少数株主排除)の注意点3つ目は「少数株主から訴えられるリスクがある」ことです。
先述しましたが、スクイーズアウト(少数株主排除)には少数株主を保護する制度があるので、対抗されて訴えられるリスクがあります。
元々、スクイーズアウト(少数株主排除)は少数株主から強制的に株式を取得する方法です。そのため、大株主は少数株主に対抗されないようにするためにも十分な対策をしておきましょう。
まとめ
本記事では、スクイーズアウト(少数株主排除)のメリットや具体的な方法について解説してきました。
スクイーズアウト(少数株主排除)を実施する時には、きちんと計画を立てて行う必要があります。スクイーズアウト(少数株主排除)を考えていたり、少数株主の存在に問題を感じたりしている場合は弁護士に一度相談してみると良いでしょう。