会計帳簿閲覧謄写請求への回答期限はあるか

株主から会計帳簿の閲覧謄写を請求され、請求書に「2週間以内に回答されたい」と記載されていた。この期限に応じる必要があるのか、応じない場合に何が起きるのかが分からない。発行会社の法務責任者、経理責任者の方から、このようなご相談をいただくことがあります。

結論から申し上げます。会社が回答すべき期間については、手続によっては期間の定めが置かれている場合があります。その有無と起算点は、受け取った書面の内容や事実関係により異なりますので、早めにご確認いただくことをお勧めします。相手方が指定した期限と、法律上の取扱いとは別のものですので、両者を区別して検討する必要があります。

そのうえで、実務上重要なのは、期限の数値そのものよりも、放置しないことです。会社が対応しない状態が続くと、株主が裁判所に対して手続を求めることがあり、その手続において、会社が対応しなかったという事実が会社側に不利に評価されるおそれがあります。

なぜ期限の確認が必要なのか

 相手方が指定した期限の意味

株主又はその代理人が請求書に記載した期限は、相手方が一方的に指定したものです。その期限が経過したことによって、法律上、直ちに特定の効果が生じるわけではありません。

もっとも、その期限を無視してよいということにはなりません。相手方は、期限の経過後に裁判所の手続を進めることを予定していることが通常です。会社としては、期限までに何らかの応答を行うことが、実務上望ましいといえます。

 法律上の取扱い

会計帳簿閲覧謄写請求に対して会社が対応すべき期間の取扱いについては、貴社の状況と請求の内容によって検討すべき事項が異なります。数値については、確認を経ずに一般化して述べることが適切でありませんので、本記事では記載いたしません。手続によっては期間の定めが置かれている場合があります。その有無と起算点は、受け取った書面の内容や事実関係により異なりますので、早めにご確認いただくことをお勧めします。

 放置した場合に想定されること

表1 対応しない場合に想定される展開

展開 内容
裁判所の手続の申立て 株主が、閲覧又は謄写を求める手続を裁判所に申し立てることがあります
仮の地位を定める手続 早期の実現を求めて、仮の地位を定める手続が申し立てられることがあります
会社側の主張の制約 会社が検討を行った形跡がない場合、拒む理由の主張が困難となることがあります
他の権利行使への波及 資料の開示を得られない株主が、他の権利の行使に移ることがあります
費用と期間の増加 手続に至ることにより、会社の負担が増加します

放置することによって得られる利益はなく、負担のみが増加します。

例外及び注意点

 「検討中である」旨の応答も応答です

請求された資料が多数にわたる場合、検討に時間を要することがあります。この場合、検討を行っている旨と、回答の見込みの時期を記載した書面を送付することが、実務上の対応となり得ます。

無回答のまま時間を経過させることと、検討中である旨を伝えることとは、後日の評価において意味が異なります。

 早期に全面的な回答を行う必要はありません

他方で、期限に追われて十分な検討を経ないまま回答することも、適切ではありません。回答の内容は、その後の手続における会社側の主張の土台となります。

 拒む場合には理由を示します

請求に応じないという判断をする場合には、その理由を示すことになります。理由を示さずに拒むことは、後日の手続において会社側に不利に働きます。

 社内の窓口を定めます

期限の管理を遺漏なく行うために、社内の窓口を一本化してください。複数の担当者が個別に応答することは、記録の不備と対応の不統一を招きます。

 資料の改変を行わないでください

請求を受けた後に、資料を改変し、又は廃棄することは、行ってはなりません。後日の手続において重大な問題となります。

次に確認すること

表2 確認の順序

順序 行うこと
第1 請求書の到達日を記録し、原本と封筒を保管します
第2 相手方が指定した期限を確認します
第3 請求の根拠として述べられている制度と理由を特定します
第4 会社が対応すべき期間を確認します。手続によっては期間の定めが置かれている場合があります。その有無と起算点は、受け取った書面の内容や事実関係により異なりますので、早めにご確認いただくことをお勧めします
第5 請求された資料の一覧を作成し、存在と所在を確認します
第6 応答の方針を定めます。方針の決定の前に弁護士へご相談ください

弁護士に相談する意味

第一に、期間の確認です。制度ごとに取扱いが異なり、また、貴社の定款の定めによって異なる場合があります。確認を経ずに判断することは適切ではありません。

第二に、応答の内容の設計です。検討に時間を要する場合の応答、拒む場合の理由の示し方は、その後の手続を見通して定める必要があります。

第三に、窓口の一本化です。代理人を選任することにより、期限の管理と記録の整備を組織的に行うことができます。

第四に、その後の手続への備えです。裁判所の手続が申し立てられた場合に備えて、初期の段階から資料と記録を整えておく必要があります。

当事務所は、発行会社、支配株主、代表取締役、法務責任者の側に立ってご依頼をお受けしております。ご相談は事前予約制です。

よくある質問

質問1 株主が指定した期限までに回答しないと、応じたものとみなされますか。

相手方が一方的に指定した期限の経過によって、そのような効果が生じるものではありません。もっとも、無回答の状態を続けることは適切ではありません。

質問2 決算の時期で忙しく、対応する余裕がありません。

社内の事情のみを理由として対応を遅らせることは、後日の手続において考慮されるとは限りません。まずは応答を行い、検討の見込みを伝えることをご検討ください。

質問3 株主から繰り返し請求が届いています。

繰り返しの請求については、その経緯と内容を記録として整理してください。従前の請求に対する会社の回答との関係も、検討の対象となります。

質問4 相談の際には何を持参すればよいですか。

株主から受領した請求書の原本又は写しと封筒、定款、株主名簿、直近3期分の計算書類、請求された資料の一覧、従前に同種の請求があった場合はその記録をご持参ください。

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株主から会計帳簿の閲覧謄写を請求された会社の方は、会計帳簿閲覧謄写請求を受けた会社へをご覧ください。請求を受けた会社の初動、要件の検討、対象となる資料の範囲、裁判手続への備えを、会社側の立場から整理してご案内しております。ご相談は事前予約制です。

必ず解決できますから、一緒に頑張りましょう。

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