株式売買価格決定申立の弁護士費用・鑑定費用の考え方

株式売買価格決定の申立てに対応するに当たっては、弁護士費用に加えて、価格の算定に必要な鑑定費用も見込んでおく必要があります。これらの費用のうち、あらかじめ金額の見通しを立てやすいものと、立てにくいものとがあります。
このうち、金額の見通しが立ちにくいのは鑑定に関する費用です。対象となる会社の規模、資産の内容、評価の手法によって作業量が異なるためです。
弁護士に関する費用
弁護士に関する費用は、事案の内容、対象となる株式の数、争点の多寡、手続に要する期間によって異なります。当事務所においては、ご相談の際に事案の内容を伺ったうえで、個別にお見積りをご案内しております。
この手続における作業の中心は、会社の実態を示す資料の整理と、評価の前提に関する主張の構成です。この作業の分量が、費用の水準に影響します。
鑑定に関する費用
鑑定が行われる場合、鑑定人に対する費用が生じます。金額は、対象となる会社の規模、資産の内容、用いる評価の手法、資料の整備の状況によって異なります。
会社の資料が整備されていない場合、鑑定人の作業量が増加し、費用が増える要因となり得ます。この点は、平時からの資料の整備が費用の面でも意味を持つことを示しています。
社内で生じる負担
見落とされやすいのが、社内で生じる負担です。資料の収集と整理、質問への回答、説明のための時間は、経理及び事業の担当者の業務時間を要します。
手続が長期にわたる場合、この負担は相当の分量となります。方針を検討する際には、この点も考慮に入れてください。
費用を抑えようとした場合に生じること
費用を抑えるために準備を省略するという判断は、一見すると合理的に見えます。もっとも、この手続においては、次の点に注意が必要です。
表2 準備を省略した場合に想定される事態
| 省略した事項 | 想定される事態 |
|---|---|
| 資料の整理 | 鑑定人が一般的な前提を置いて評価を行い、会社の実情が反映されない可能性があります |
| 前提に関する主張 | 相手方の示した前提が争われないまま手続が進行することがあります |
| 特殊事情の説明 | 会社に固有の事情が考慮されないことがあります |
| 資料の整合性の確認 | 説明を求められ、かえって時間と費用を要することがあります |
決定される価格の差は、対象となる株式の数によっては相当の金額となり得ます。準備に要する費用と、価格に生じ得る差とを比較して判断することになります。
例外及び注意点
費用の取扱いは手続の中で定まります
裁判所の手続に関する費用、鑑定に関する費用の負担については、手続の中で取扱いが定まります。会社側がすべてを負担することが当然に決まっているものではありません。
もっとも、手続の進行中は、いずれかの当事者が予納するという形で負担することになります。資金の手当てを含めて検討してください。
会社と支配株主のいずれが負担するか
指定買取人が買い取る場合、株式の併合等によって少数株主が排除された場合には、会社ではなく支配株主が当事者となることがあります。この場合、費用をいずれが負担するのかを、あらかじめ整理しておく必要があります。
会社の費用で支配株主個人の手続を行うことについては、別途の検討を要します。
他の手続との関係
同一の株主から、会計帳簿閲覧謄写請求その他の請求が並行して行われている場合、それぞれについて費用が生じます。全体としての見通しを立てて方針を決めてください。
税務上の取扱い
支払った費用の税務上の取扱いについては、税理士その他の税務専門家にご確認いただく必要があります。
次に確認すること
表3 費用の見通しを立てるために整理していただく事項
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象株式 | 株式の数、発行済株式の総数に対する割合 |
| 制度の場面 | 承認請求、株式買取請求、排除後の価格のいずれか |
| 手続の段階 | 申立ての直後か、争点の整理が進んでいるか |
| 争点 | 評価の手法、基準となる時点、少数株式の取扱い等 |
| 会社の規模 | 売上高、総資産、従業員数 |
| 資産の内容 | 不動産、有価証券、事業に用いていない資産の有無 |
| 資料の整備 | 計算書類、勘定科目内訳明細書の整備の状況 |
| 他の株主 | 同様の請求が想定される株主の有無 |
これらの事項が整理できていれば、費用の見通しについて具体的なご説明が可能です。
弁護士に相談する意味
費用に関するご相談は、方針の検討と切り離すことができません。争うのか、手続の中で解決を図るのか、株主構成全体をどう整えるのかという方針によって、必要となる作業の範囲が異なるためです。
したがって、費用についてお尋ねいただく場合であっても、事案の内容を伺ったうえで、複数の方針とそれぞれに要する費用をご説明することになります。
また、この手続は、当該株主との関係にとどまらず、他の株主との関係にも影響します。1件あたりの費用だけでなく、株主構成全体の整理に要する費用として捉えることが有用です。
当事務所は、発行会社、支配株主、代表取締役、法務責任者の側に立ってご依頼をお受けしております。ご相談は事前予約制です。
よくある質問
質問1 費用の相場を教えてください。
事案の内容によって大きく異なりますので、一律の相場を申し上げることはいたしません。事案を伺ったうえで、個別にお見積りをご案内いたします。
質問2 鑑定の費用は会社が全額負担するのですか。
費用の負担の取扱いは手続の中で定まります。手続の進行中の予納については、別途の検討が必要です。
質問3 費用を抑えるため、資料だけ出して任せることはできますか。
可能ですが、会社の実情が評価に反映されない可能性があります。価格に生じ得る差と比較してご判断ください。
質問4 他の少数株主にも同じことをされたら、費用が重なりますか。
そのおそれがあります。株主構成全体の方針を併せて検討することをお勧めいたします。
質問5 相談の際には何を持参すればよいですか。
裁判所から届いた書類の一式、直近3期分の計算書類、株主名簿、定款、登記事項証明書、これまでの協議の経緯が分かる資料をご持参ください。
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費用の見通しを含めて方針を検討したい会社の方は、株式売買価格決定申立の会社側対応をご覧ください。手続の全体像と会社側の対応を、会社側の立場から整理してご案内しております。ご相談は事前予約制です。
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必ず解決できますから、一緒に頑張りましょう。
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