株式譲渡承認請求の期限を過ぎるとどうなるか

株主から株式譲渡承認請求を受けたものの、対応に追われるうちに定款や会社法で定められた期間を過ぎてしまいそうだという非上場会社の経営者の方から、御相談をいただくことがあります。

この場面で問題となるのは、期間内に何らの通知もしなかった場合、承認をしたものとみなされ、会社の意図にかかわらず譲受人が株主として扱われてしまうという点です。

以下では、期間内の対応の内容ごとに生じる効果、及び定款による別段の定めの有無を確認する必要性を御説明します。

期間内に承認する旨を通知した場合 譲受人が株主となります
期間内に承認しない旨を通知した場合 会社又は指定買取人が買い取る段階へ進みます
期間内に通知をしなかった場合 承認をしたものとみなされ、譲受人が株主となります

 定款による別段の定め

期間について、定款に別段の定めが置かれている場合があります。したがって、一般的な数値のみを前提として判断することは適切ではありません。貴社の定款を確認してください。

例外及び注意点

 買取りの通知にも期間があります

承認をしない旨を通知した場合であっても、その後の買取りの通知について、別に期間が定められています。この期間を徒過した場合にも、会社にとって不利な効果が生じ得ます。

すなわち、期間の管理は一度で終わるものではありません。手続の各段階について、期間を確認する必要があります。

 通知の到達が問題となります

期間内に決定を行ったとしても、通知が期間内に到達しなければ意味を持たない場合があります。通知の方法は、到達の日を確認できるものを選んでください。

 期間を徒過してしまった場合

既に期間を徒過してしまった場合であっても、対応を検討する余地がある場合があります。徒過の事情、請求の要件の充足の有無、その後の当事者間のやり取りの内容によって、検討すべき事項が異なります。

もっとも、期間を徒過したという事実そのものを覆すことは容易ではありません。まずは事実関係を正確に把握し、早期にご相談ください。

 社内の体制の問題として捉えてください

期間の徒過は、多くの場合、制度の理解の不足ではなく、社内の処理の体制に原因があります。請求書が誰に届き、誰が処理するかが定まっていない、担当者の異動により引継ぎがなされていない、という事情です。

同種の書面が再度届く可能性がありますので、社内の受付と処理の体制を整えてください。

次に確認すること

表2 確認の順序

順序 行うこと
第1 請求書がいつ、どのような方法で到達したかを確認します
第2 定款を確認し、承認機関と期間に関する定めを特定します
第3 会社が対応すべき期間を確定します。手続によっては期間の定めが置かれている場合があります。その有無と起算点は、受け取った書面の内容や事実関係により異なりますので、早めにご確認いただくことをお勧めします
第4 社内での処理の経緯を時系列で整理します
第5 請求者との間のその後のやり取りの有無と内容を確認します
第6 対応の方針を検討します。決定の前に弁護士へご相談ください

弁護士に相談する意味

第一に、期間の確定です。制度と定款の定めによって異なりますので、確認を経ずに判断することは適切ではありません。

第二に、徒過してしまった場合の検討です。事実関係の把握と、その後の対応の方針の検討には、経験を要します。

第三に、その後の株主としての対応です。譲受人が株主となることを前提として、想定される権利行使への備えを進める必要があります。

第四に、社内の体制の整備です。同種の書面が再度届く可能性がありますので、受付と処理の体制を定めておく必要があります。

当事務所は、発行会社、支配株主、代表取締役、法務責任者の側に立ってご依頼をお受けしております。ご相談は事前予約制です。

よくある質問

質問1 社内の事情で遅れた場合でも、同じ扱いとなりますか。

社内の事情は、期間の徒過を正当化する理由とはなりにくいといえます。まずは事実関係を整理したうえで、対応を検討することになります。

質問2 承認したものとみなされた場合、名義書換に応じる必要がありますか。

承認をしたものとみなされる場合、譲受人が株主としての地位を取得することを前提とした対応が必要となります。名義書換の請求に対する具体的な対応については、状況を確認したうえでご説明いたします。

質問3 請求書に不備がある場合も、期間は進行しますか。

不備の内容によって取扱いが異なります。不備を理由として期間が進行しないと判断することには危険が伴いますので、判断の前にご相談ください。

質問4 電子メールで届いた請求はどう扱いますか。

到達の有無と時期の判断が問題となります。到達を認めるかどうかによって期間の起算が変わりますので、判断の前にご相談ください。

質問5 相談の際には何を持参すればよいですか。

受領した請求書の原本又は写しと封筒、定款、登記事項証明書、株主名簿、社内での処理の経緯が分かる資料、請求者との間のやり取りの記録をご持参ください。

関連するご案内

株式譲渡承認請求の期間についてご不安のある会社の方は、株式譲渡承認請求を受けた会社へをご覧ください。受領直後の確認、承認機関の決議、承認しない場合の買取り、価格の協議までを、会社側の立場から整理してご案内しております。ご相談は事前予約制です。

必ず解決できますから、一緒に頑張りましょう。

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