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非上場株式の買取価格を大幅減額する方法とは!

公開 2022年1月16日更新 2026年11月1日

非上場株式の買取価格を大幅減額する方法とは!

▶ 非上場株式の適正価格は誰が決めるのか

本記事は、敵対的な少数株主や株式買取業者から、第三者への譲渡の承認の請求や高値での買取りを求められている会社の経営者の方に向けたものです。

会社は、申込みを断る、みなし承認をしたうえで相対で交渉する、裁判所への価格の決定の申立ての中で価格を争うといった方法により、求められた買取価格の減額を目指すことになります。会社が買い取る場合には、特別決議、財源規制及び売主追加請求権に注意が必要です。以下、順にご説明します。

Contents
  1. 非上場株式の買取価格を大幅減額する方法
  2. 第三者への株式譲渡承認請求の恐怖!!
  3. 第三者への株式譲渡承認請求をされて約30倍で株式(非上場株式)を買い戻すことになったトラブル!!
  4. 第三者への株式譲渡承認請求が行われた際の会社の様々なリスク
  5. 第三者への株式譲渡承認請求により株式(非上場株式)の売却を申し出られた際の対処法
  6. 株主(敵対的少数株主)から非上場株式の買取価格を大幅減額する方法!!
    1. 申し込みを断る
    2. 株式買取価格を大幅減額する方法
    3. 会社で株式を買い取る場合の手続
    4. 社長が個人で買い取る場合の手続
  7. 第三者への株式譲渡承認請求に対応する会社側の事情とは?
    1. 株式の譲渡を承認してもいいというケース
    2. 請求株主をヌカ喜びさせる目的での譲渡承認
  8. 第三者への株式譲渡承認請求を拒否したいが承認せざるを得ないケースとその理由
    1. 株式譲渡承認を承認せざるを得ないケース
    2. みなし譲渡承認をして相対交渉する方法
    3. 株価決定申立(株価決定裁判)で株式買取価格を大幅に減額する方法
  9. 株主から第三者への株式譲渡承認請求をされたらどうすればよいか?
  10. 高額な株式買取価格を要求された場合に最初に確認する事項
    1. 会社側がしてはならない対応
    2. 価格の主張を組み立てる順序
  11. まとめ

非上場株式の買取価格を大幅減額する方法

相続税の節税効果などを期待し、株式(非上場株式)を分散する会社は珍しくありません。しかし、安易に株式(非上場株式)を分散することで、会社は大きなリスクを背負ってしまうことも知っておく必要があります。たとえば、分散した株式(非上場株式)を取得した会社の役員や親族などがいつまでも友好的とは限りません。

急に、株式(非上場株式)の買い取りを迫ってきたらどうでしょうか?敵対的少数株主です!もしかしたら、想定している何倍以上も高い金額で買い取らなくてはいけないかもしれません。また、第三者への株式譲渡承認請求が行われることで、致し方なく株式(非上場株式)の買い取りに応じなくてはならないケースがあることも留意しておくべきでしょう。

株式会社である以上、どの会社でも第三者への株式譲渡承認請求が行われる可能性は十分にあります。よって、その事態に対処できるよう常に備えておくことが肝要です。特に、近年では、株式買取業者が出現してきており、かなり巧妙になってきています。

そこでこの記事では、株主(敵対的少数株主)から第三者への株式譲渡承認請求をされたらどうすればよいかを弁護士が徹底解説していきます。また併せて、株式買取業者からの、非上場株式を高値で買い取る旨の要求に対して、非上場株式の買取価格を大幅減額する方法についても、多数の経験則に基づき、徹底解説します。

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第三者への株式譲渡承認請求の恐怖!!

経営者からすれば、第三者への「株式譲渡承認請求」という言葉は、一度は耳にしたことがあるでしょう。しかし、第三者への株式譲渡承認請求の恐ろしさを知っているのは一握りの経営者のように感じます。過去にはとある会社で、元役員との間に以下のようなトラブルが起きたことがありました。

第三者への株式譲渡承認請求をされて約30倍で株式(非上場株式)を買い戻すことになったトラブル!!

その会社は、純資産が50億円を超える優良企業でした。

しかし、会社の発展に貢献してきたある役員が、会社の方針とは合わないことを理由に退職を願い出ました。

退職自体は別段トラブルもなく通常どおり終了したのですが、実はその役員はこれまでに複数回に分けて会社の株式(非上場株式)を取得しており、会社はその役員の退職時にその株式(非上場株式)を買い戻すことはしませんでした(役員が株式(非上場株式)の売却を拒否したのです)。

その役員の所有する株式(非上場株式)の持株比率はわずか6%程度であったため、「会社の経営権に影響する比率ではない」と軽視してしまったことが原因です。

ですが、その脇の甘さは見事にトラブルとしてのちに跳ね返ってきました。

退職してからわずか三ヵ月後、退職した元役員が弁護士を通じて「自分が保有する株式を譲渡したい!」と通知してきたのです。

オーナーとしては、特に、株式(非上場株式)の買い取りに応じる理由もなく、さらには弁護士から提示された株式譲渡価格が3億円と法外な金額であったため(その役員が当初取得した際の株式(非上場株式)の価格は1,000万円にも満たない)、株式(非上場株式)の買い取りには応じませんでした。

しかし、その役員は、今度は「ライバル会社に株式を譲渡することを承認して欲しい」と第三者への株式譲渡承認請求の通知を送ってきたのです。

さすがに、オーナーとしては、ライバル会社に6%もの株式(非上場株式)を譲渡することを承認するわけにはいかず、最終的には会社で買取るという結論となりました。

ただし、相手方の提示してくる株式買取金額はあまりにも高額であり、とても飲める条件ではありません。

よって、協議は整わず、株式売買価格は裁判にて決定されることとなりました。

ですが、ここで一つ問題が発生します。

裁判を行う場合、会社側は事前に株式代金相当額の供託金を法務局に積む必要があるのですが、会社法上、供託金は「会社の決算書に記載されている簿価純資産額を、発行済株式数で割った金額に、買い取りの対象となっている株数を掛けた金額」(簿価純資産価格)とされており、今回必要となった供託金は、なんと3億円だったのです。

たとえ優良企業といえども、とてもじゃないですが右から左に動かせる金額ではありません。

しかも、会社が供託金を積めなかった場合は、株式譲渡を承認したこととなってしまうのです。

しかし、供託金を積めなければ裁判を始めることもできないため、会社側は苦労しながらも何とか3億円をかき集め、裁判までこぎつけました。

そして、肝心の裁判結果は、なんと、「2億円で株式を買取ることを命じる!!!」というものでした。

判決理由を簡潔にまとめると、「役員も経営者と同様、法律上責任を負っており、会社の業績が上がり、純資産が上がるのであれば、それは役員の功績が大きい。よって、株式は純資産価額相当額で買い取るべき」とのこと。

結局のところ、その役員が退職した際に、会社がその役員の株式(非上場株式)を買い戻さなかったことが災いし、第三者への株式譲渡承認請求が行われ、苦労して供託金をかき集める必要があり、最終的には元値の30倍以上の価格で株式(非上場株式)を買い戻さなければならない結果となったのです。

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第三者への株式譲渡承認請求が行われた際の会社の様々なリスク

上記のように、株主から第三者への株式譲渡承認請求が行われるケースは決して珍しくありません。

自社株が会社にとって都合の悪い相手に買い取られてしまうなら特に問題です。

日本の企業の約99%は中小企業といわれており、中小企業の株式はほとんどの確率で譲渡制限株式(非上場株式)となっています。

よって、たとえばライバル会社などの、会社にとって不都合な第三者への株式譲渡承認請求があった場合、これを拒否するためには会社自身が買い取るか、または新たな買取人を指定しなければなりません。

しかしこの場合、多くのケースでは売買価格の協議は整わず、裁判にて売買価格は決定されることとなり、さらには、株価の定義をどこにおくかによっても異なってきますが、仮に時価純資産価額で評価される場合には、元値の何十倍という金額で買取らざるを得なくなってしまう可能性も十分にあるのです。

また、裁判を始めるためには巨額の供託金も必要となります。

株式買取業者は、まさにこのような方法により、非上場株式を高値で会社に買い取らせようとして、強硬に要求してくるのです。

また、株主から第三者への株式譲渡承認請求を承認したらしたで、株式買取業者は、積極的に会社の経営に関与しようとしますし、これまでの役員の責任を追及されたり、会社に対して数々の権利行使をしてきますので、安心して経営にあたることもできません。

いずれにしても、第三者への株式譲渡承認請求が行われるというのはこれほど厄介なものなのです。

第三者への譲渡の承認を求められ、承認を拒むかどうかを判断する場合の会社の対応は、次のページでご案内しています。

第三者への株式譲渡承認請求により株式(非上場株式)の売却を申し出られた際の対処法

もし仮に、株主(敵対的少数株主)から株式(非上場株式)の売却を申し出られた場合、その会社や経営者はどのような対処を取るべきなのでしょうか。

株主(敵対的少数株主)から株式(非上場株式)の売却を申し出たと言っても、株式を安値で売却するというのなら良いですが、そういうことではなく、会社に対して、株式を高値で買い取るよう要求してくることが通常です

対処法としましては、主に以下のような選択肢が考えられます。

ここでは、株主(敵対的少数株主)から会社を完全に防御するとともに、さらに、これを機会に、株主(敵対的少数株主)を徹底的に懲らしめたいところです。

株主(敵対的少数株主)は悪意の株主ですので、思いどおりにさせてはいけません!
 
株主(敵対的少数株主)にとって最も不利になる方法を全力で考えるべきでしょう。
 
ただ、株主(敵対的少数株主)から株式を買い取る株式買取業者は、法令にも精通しており、多数の案件をこなしており経験値も高く、かつ機動力や持続力も有するなど、不用心に対応するべきではありません。

お手元の資料と経緯をお聞きし、進め方の順序をお示しします。

株主(敵対的少数株主)から非上場株式の買取価格を大幅減額する方法!!

申し込みを断る

自社株が会社にとって都合の悪い相手に買い取られてしまっても良いのなら、株式(非上場株式)の買い取りを断ることも選択肢です。

ただし、そのような場合、株主は会社が株式(非上場株式)を売却されたら不都合となる相手方へ株式(非上場株式)の買い取り話を持ちかけます。

この場合、譲渡制限株式(非上場株式)は、会社は譲渡を承認しない代わりに会社自身が買い取るか、または新たな買取人を指定しなければならず、さらにこの場合の指定買取人は社長自身となるのが一般的であるため、結局、株式の買い取りに応じなくてはならなくなるのです。

株式譲渡承認の否決後、相手方とは価格交渉を行う必要がありますが、裁判所が決定する株式売買価格は多くのケースで買取人にとって想定を上回る価格となってしまいます。

よって結論からいえば、株式譲渡承認の請求があることが想定される場合は、株主から株式(非上場株式)の売却の申し出があった時点で、最初から応じておくべきと考えるのが合理的です。

株式買取価格を大幅減額する方法

しかし、会社としては、株式を高値で買い取るわけにはいきません。

高値で株式を買い取った場合、会社の財政に対してインパクトがあるのみならず、会社の資産が、株式買取業者を通じて、旧株主に還元されることは間違いなく、旧株主に利益を与えてしまいます。

株式買取業者は、純資産価格での株式の買取を要求してくることが多いのですが、純資産価格は過去経営陣が苦労して稼いだ会社資産が蓄積したものであり、突然出てきた株式買取業者が手にすべきものでもありません。

そもそも、株価というものは、純資産価格で決定されるべきものではなく、会社が毎年どのように収益を上げるか、それをどのように株主に還元するかを総合的に反映すべきものなのです。

ですので、株式買取業者からの株式譲渡承認請求を拒否した場合は、株価決定申立(株価決定裁判)に移行し、その中で、ファイナンス理論を用いて、適時かつ適切に主張反論し、裁判官に理解して頂く作業が必要になりますし、株価決定申立(株価決定裁判)ではなく相対で交渉する場合であっても、ファイナンス理論に基づいて、適時かつ適切に主張反論してゆくことが重要となります。

実際に、弁護士法人M&A総合法律事務所では、数多くの株価決定申立(株価決定裁判)や相対で交渉を経て、株式買取価格の大幅減額を実現してきていますので、是非ともご相談ください。

会社で株式を買い取る場合の手続

では具体的な、会社で株式を買い取る場合の手続についてみてゆきましょう。

会社で株主から株式(非上場株式)を買い取る場合、それは「自己株式の取得」となります。

また、自己株式の取得につきましては、「株式会社の株主は、株主としての資格に基づく法律関係においては、その内容及び持株数に応じて平等に扱われなければならない」という『株主平等の原則』があるため、会社法によって以下のような厳格な手続と、一定の規制が設けられています。

1.株主総会の特別決議(議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成で可決)

会社は、特定の譲渡人から自己株式の取得を行う場合、まずは「取得株式の数」や「株式買取価格」「買取総額の上限」などについて、株主総会の特別決議による承認を受けなければなりません。

2.財源規制

自己株式の取得による金銭等の受け渡しは、会社法において配当と同じく「剰余金の分配」と位置付けられている。

よって、剰余金の分配については、債権者保護の目的から無制限に配当等をすることを禁止するために「財源規制」が設けられており、財源規制に違反して自己株式の取得が行われた場合その株主は善意・悪意に関係なく、交付を受けた金銭等を会社に対して支払う義務が発生し、取締役についても責任を負われることとなります。

3.売主の追加請求権

ただ、自己株式の取得を行う場合、売主となる株主以外の株主についても自己株式を買い取る旨を通知し、平等に株式を換金する機会を与えなければなりません(売主の追加請求権)。

会社で株式を買い取る場合は、この売主の追加請求権というものによって、一般の株主が、株式買取業者に便乗し、会社に対して、株式の買取を要求することを、惹起してしまう可能性があるのです。

売主の追加請求権があった場合は、株主総会で承認を受けた予定取得株式数を超えてしまう可能性があるため、その際には、当初から予定されている株主の買取数量に、売主追加買取請求のあった株式数を合算し、それぞれの買取希望株式数で按分計算することとなります。

補足としまして、売主追加請求権の株式数が多過ぎると、株主総会で承認を受けた予定取得株式数を超えてしまう可能性があるため、その事態に備えて、予め追加株式買取請求に備えて買取枠を高めに設定しておくことも予想されます。

しかし、財源規制があるため買取枠も無制限に増やすわけにもいきません。

また、定款を記載することでこの売主追加買取請求権自体を無効にすることもできますが、これには一部の株主に不利益となる可能性があることから、全株主の同意がなければ定款の変更はできません。

よって、特定の株主から買い取りの申し出がある以前に、全株主から同意を得られる環境のうちに手続をしておくことで、売主追加買取請求に万全に備えておくことができます。

社長が個人で買い取る場合の手続

なお、株主から株式(非上場株式)の売却の申し出があった場合、必ずしも会社で買い取る必要はなく、社長が個人で買い取ることもできます。

個人で買い取る場合の最大のメリットは、会社法などの規制を受けることがない点にあります。

社長個人で買い取るならば株式譲渡承認が得られないということはないですし、(ただし、株式譲渡承認のための手続は必要)自己株式のときのような、財源規制や売主追加買取請求の問題も起こりません。

ですが、当然デメリットもあります。

まず、株式を取得するための資金をどのように捻出するのか、取得対価をいくらに設定するのかなど、解決しなければいけない問題も少なくはありません。

ですが、株式(非上場株式)の買い取りまでに猶予がない状態ならば、社長個人で買い取る手段が最も弊害がなく最善の手段と考えられます。

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第三者への株式譲渡承認請求に対応する会社側の事情とは?

株主から株式譲渡承認請求が行われた場合、その時の会社の事情によって対応が異なります。

たとえば、その会社が分散している株式(非上場株式)をなんとか集約しようとしているならば、株式譲渡承認請求は非常にありがたい申し出でしょう。

その場合は、あとは株式売買価格を協議するだけなので、特別難しいこともありません。

しかし、会社にそのような意図がない場合は、状況によって対応に追われることとなってしまいます。

また、株主が非常に高額でないと株式売却に応じない場合や、株式売買価格が非常に高額となってしまうような場合も、会社は対応に追われることになってしまいます。

では実際に、どのような対応を取るケースが多いのかをみていきましょう。

株式の譲渡を承認してもいいというケース

株式(非上場株式)の譲渡の相手方が別段問題のない、または株式数(議決権数)が少なければ譲渡を承認してもいいというケースがあります。

株式譲渡承認請求を行う株主にとって、「実は譲渡承認が否決されることが狙い」という場合が多く、そのような株主にとって株式譲渡があっさりと承認されるのはイタい展開です。

ただし、会社側としても、何でも株式譲渡の承認を行えるわけではありません。

たとえば、素性のわからない相手方がいきなり株主になることは、会社としても望まないでしょう。

閉鎖的な非上場の、同族経営の会社などならば尚更です。

また、株式数が多ければ経営に影響が出てくるため、同様で容易に譲渡を承認することはできません。

さらに、株式買取業者は、機動力と行動力を有しており、かつ多数の案件を対応しており経験値も高く、会社に対して積極的な行動に出ることがあり、非常に面倒です。

よって、そのような状況では、会社や指定買取人による買い取りも視野に入れる必要が出てきます。

請求株主をヌカ喜びさせる目的での譲渡承認

請求株主に対して、憎しみを抱く経営者は少なくありません。会社に対して土足で上がり込んでくるのですから、当然のことかと思います。

株主の本来の目的が、株式譲渡承認拒否の株式(非上場株式)の高値での売却であることがわかっているなら尚更です。

そのような場合、請求株主をヌカ喜びさせたのちに絶望させることを目的として、株式譲渡を承認するという選択肢も考えられます。

しかも、一度、株式譲渡承認の拒否の通知を出した後にわざと株式買取通知を行わず、「みなし譲渡承認」となるよう仕向けるのです。

合理的な理由は一切ない、ただ請求株主を困らせる目的の株式譲渡承認の拒否の通知を行う方も中には少なからずいらっしゃいます。

第三者への株式譲渡承認請求を拒否したいが承認せざるを得ないケースとその理由

以下のような理由がある場合、「会社としては譲渡承認を拒否したいが、承認せざるを得ない」というケースも存在します。

株式譲渡承認を承認せざるを得ないケース

  • 十分な分配可能額がない
  • 買取人を指定して株式(非上場株式)を買い取ってもらうしかないが、買取人が買い取った後の株主構成に不満を持つ既存株主もいることから、買取人候補者や既存株主からの承認が得られない
  • 買取人を指定できたとしても、株式(非上場株式)の買取資金の立替ができない
  • 供託金が準備できない(会社が株式(非上場株式)を買い取る場合、簿価純資産価格の供託が必要)

など

このような状況になると、株式譲渡承認を拒否したいが承認せざるを得ない、また株主としましても、株式の譲渡は拒否して欲しいのに承認されてしまうという、双方にとって望まない結果となってしまいます。

みなし譲渡承認をして相対交渉する方法

会社側の心境としましては、株式譲渡を積極的に承認したくないところでしょう。

しかし、意図せざる状況(ケアレスミス)によって、第三者への株式譲渡承認請求があった場合に、2週間以内に認否の決定を請求者に対して通知しない、もしくは不承認の通知の日から40日以内に、会社が株式買取通知を行わなかった場合、それは株式譲渡承認とみなされます(みなし譲渡承認)。

みなし譲渡承認は、株式譲渡を認めたくない会社側も、承認されず株式(非上場株式)を会社もしくは指定買取人に売却したい請求株主にとっても、意図しない結果となります。

ただし、みなし譲渡承認となったとしても、当事者間で合意による別段の定めをしたときはみなし譲渡承認を回避することも可能です。

また、請求株主としましては、譲渡承認をされてしまえば非上場株式を売却できないどころか、譲受人にも迷惑をかけてしまう可能性が高いため(譲受人が株式を購入しなければいけなくなり結果としてその譲受人が価値のない株式の株主となってしまうため)、なんとしても回避したいと考えます。

その思惑を逆手に取り、あえて「みなし譲渡承認」とし、その後の売却交渉(任意交渉)を有利に進めようとするケースもあります。

株価決定申立(株価決定裁判)で株式買取価格を大幅に減額する方法

ですが、やはり、確実に、株式買取業者から、株式買取価格を大幅に減額する方法は、株価決定申立(株価決定裁判)に移行し、その中で、ファイナンス理論を用いて、適時かつ適切に主張反論し、しっかり裁判官に理解して頂く方法となります。

実際に、弁護士法人M&A総合法律事務所では、数多くの株価決定申立(株価決定裁判)や相対で交渉を経て、株式買取価格の大幅減額を実現してきていますので、是非ともご相談ください。

譲渡を承認しなかった後に、裁判所に売買価格の決定を申し立てられた場合の会社側の対応は、次のページでご案内しています。

株主から第三者への株式譲渡承認請求をされたらどうすればよいか?

では、要するに、株主(敵対的少数株主)から第三者への株式譲渡承認請求をされたらどうすればよいのでしょうか。

この回答としては、非常に多くの選択肢があるため、弁護士と協議して慎重に選択肢を選択された方が良いと思います。

すなわち、株主(敵対的少数株主)から会社を完全に防御するとともに、さらに、これを機会に、株主(敵対的少数株主)を徹底的に懲らしめたいところです。株主(敵対的少数株主)は悪意の株主ですので、思いどおりにさせてはいけません!

他方、株式買取業者は、機動力と行動力を備えており、非常に面倒な相手です。

弁護士法人M&A総合法律事務所では、非常に多数の第三者への株式譲渡承認請求のご相談に対応してきましたので、この分野のあらゆる論点に精通していると自負しており、株主(敵対的少数株主)からの第三者への株式譲渡承認請求に対して、会社を完全に防衛するためのノウハウが蓄積しています。

敵対的少数株主や株式買取業者への対応についてもノウハウを蓄積しています。

株主(敵対的少数株主)にとって最も不利になる方法を全力で考えます!!

弁護士法人M&A総合法律事務所は、貴社を、株式(敵対的少数株主)から、完全に防衛することを目指しますので、一度、ご相談ください。

高額な株式買取価格を要求された場合に最初に確認する事項

株主から提示された金額が高額であると感じられた場合であっても、直ちに金額の当否を論じることは適切ではありません。金額の評価は、次の事項を確定させた後に行います。

確認事項内容確認する資料
請求の法的性質任意の買取りの申入れか、株式譲渡承認請求に伴う買取りの請求か、反対株主の株式買取請求か株主から受領した書面、封筒の消印
会社の義務の有無会社に買取りの義務が生じているか、それとも応じるかどうかを会社が選択できるか定款、株主から受領した書面
提示額の算定根拠算定書が添付されているか、算定方法、前提とされた数値株主から提出された算定書
会社側の数値直近3期の計算書類、勘定科目内訳明細書、含み損益のある資産の有無計算書類、固定資産台帳、不動産の評価資料
財源の有無分配可能額を超えていないか。会社が取得する場合に財源規制に抵触しないか貸借対照表、株主資本等変動計算書
買主の選択会社が取得するのか、代表者その他の個人が取得するのか、第三者を指定するのか資金の状況、税務上の影響

会社側がしてはならない対応

第一に、金額のみを口頭で応酬することです。根拠を示さない金額のやり取りは、後の手続において会社側の主張の一貫性を損ないます。第二に、資料を示さないまま「その金額は高い」と述べることです。会社側が資料を示さない態度は、株主による会計帳簿閲覧謄写請求を誘発します。第三に、算定の前提となる資料を廃棄し、又は変更することです。第四に、期限の定めのある手続について、社内の検討を理由に応答を遅らせることです。

価格の主張を組み立てる順序

会社側の主張は、算定方法の選択、前提数値の当否、非流動性その他の調整という三つの層に分けて組み立てます。裁判所の手続に移行した場合、争点となるのは主としてこの三つの層です。協議の段階から同じ枠組みで議論しておくことにより、仮に手続へ移行した場合にも主張の一貫性を保つことができます。

なお、本記事は、第三者への譲渡の承認を求められた場面を主題としつつ、統合により、任意の買取り及び株式買取請求に応じる場面についても、株式買取請求の手続に即して併せて整理しています。

まとめ

株式(非上場株式)の第三者への株式譲渡承認請求は、会社の爆弾のようなものです。

どのような会社もこのような問題は潜在的に抱えている可能性があり、また順調に利益を上げているような好調な会社ほど、そのダメージを大きく被ってしまいます。

また、様々なリスクを回避するためには、専門家である弁護士へ相談するのがおすすめです。

弁護士法人M&A総合法律事務所では、法的知識や経験を駆使した的確なアドバイスを受けることが可能であり、それぞれの事情に応じた適切な対処を取ることができます。

いずれにしても、第三者への株式譲渡承認請求は通知書に対する回答の期間が定められていたり期限のある厳格な手続と、複雑な法制度、株主(敵対的少数株主)との心理的なせめぎ合い、が複雑に絡み合うものであるため、早めに行動に移すことが早期解決に繋がります。

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この記事の位置付け

非上場株式の買取価格の減額に関するメインのページです。本ページは、敵対的少数株主から高額の買取りを求められた発行会社の側が、価格を適正な水準へ引き下げる筋道をご説明します。算定手法の全体は別のページをご参照ください。

本ページは、統合により、任意の買取り及び株式買取請求に応じる場面での価格の検討も併せて扱います。

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執筆者

弁護士法人M&A総合法律事務所 代表弁護士 土屋勝裕(東京弁護士会所属 登録番号26775)

2024年(令和6年)10月に最高裁判所において株式買取請求権に関する逆転判決を得た弁護士です。長島・大野・常松法律事務所に在籍した後、慶應義塾大学ビジネス・スクール及びペンシルベニア大学ウォートン校に留学し、ファイナンス理論並びにM&A及び不動産を専攻しました。不動産投資信託(J-REIT)の上場案件にも関与しています。

主として取り扱う分野 M&A、株式買取請求権、非上場株式の価格の決定、企業価値評価、事業承継及び企業法務

所在地 〒105-6017 東京都港区虎ノ門4丁目3番1号 森トラスト城山トラストタワー17階/電話番号 03-6435-8418/受付時間 8:00-21:00(土日祝含む)

本記事の記載は一般的な法律情報であり、個別の事案に関する法律上の助言ではありません。記載した経歴は事実の記述であり、個別の事件の結果を保証するものではありません。

著書

非上場会社における少数株主対策の手法と実務
『非上場会社における少数株主対策の手法と実務』(日本法令)
中堅・中小企業のためのM&Aトラブル事例と実務対策
『中堅・中小企業のためのM&Aトラブル事例と実務対策』(清文社)
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