キャッシュアウトとは?メリットやデメリット、手法と対抗手段を解説

「キャッシュアウト」とは、企業が買収される際に、少数株主をその企業から締め出すことです。

この記事では、会社法におけるキャッシュアウトの意味、メリットや実施するための手法・流れなどを分かりやすく解説します。

キャッシュアウトとは

キャッシュアウトとは、企業の大株主が小さい株主に対して対価を払って、その企業から退出させる手法を意味する言葉です。別名、スクイーズアウトとも呼ばれています。

2014年の会社法改正により、大株主が企業の株式の90%以上を持っている場合、少数株主に対してすべての株式を売り渡すよう請求する株式等売渡請求の権利を行使できるようになりました。これにより、少数株主を企業から退出させることが簡単にできるようになりました。

キャッシュアウトの特徴は、企業の株主を最終的に大株主だけにできる点です。そのため、上場企業を非上場企業に変えて、他の企業の子会社にするための準備に用いられることもあります。

ちなみに、キャッシュアウトの手法は、企業規模に関係なく活用できます。また、定款に株式売買に関する規定を定めている場合でも、キャッシュアウトの規定が優先して適用されます。

キャッシュアウトのメリット

キャッシュアウトを活用するメリットは、以下のようにさまざまあります。

  • 速い決断ができる:株主を大株主だけにすることで、株主総会などの手続きが簡単になり、決定を早く行えるようになる。
  • 資金の節約:株主の数を減らすことで、その管理費や法的な手続きにかかる費用を削減できるようになる。
  • 長期的目線で経営戦略を考えられる:大株主だけになると、短期的な利益を求める投資家のプレッシャーが減少するため、企業として長期的な戦略を立てやすくなる。
  • 特定の企業を完全子会社化しやすくなる

他の企業を子会社にしたい場合、その企業のすべての株主から承認をもらうのは簡単なことではありません。株主全員が納得するまでには多くの時間がかかるうえに手間もかかります。

そのような状況で子会社化に関する決断を早くするためには、分散した株式を集約させたり、株主を整理したりする必要がありますが、その過程で少数株主に権利を行使されることで、株式の集約や株主の整理などの進行が滞るおそれがあります。

しかし、キャッシュアウトの手法を活用し、少数株主を企業から退出させることで、その後の企業経営をスムーズに進められるようになるのです。

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キャッシュアウトのデメリット

キャッシュアウトの活用にあたっては、いくつかのデメリットもあります。

はじめに挙げられるデメリットは、準備が大変な点です。キャッシュアウトを行うためには、一定の株式を保有する必要があるほか、株主総会での決議や議題の確定など、求められる条件・準備・手続きが多数あるため、実行までに多くの時間がかかります。

また、資金面にもデメリットがあり、少数株主に支払う金額を用意できないと、キャッシュアウトの計画は前進しません。

さらに、キャッシュアウトにより提案された買取価格に少数株主が納得しない場合、裁判で争うことになる可能性があります。裁判に発展すれば、さらに時間・お金がかかるので、注意が必要です。

キャッシュアウトの主な手法と流れ

本章では、キャッシュアウトの主な手法は以下の4つです。

  • 全部取得条項付種類株式
  • 株式併合の利用
  • 株式等売渡請求
  • 株式交換の応用

それぞれの手法と流れについて順番で解説します。

全部取得条項付種類株式

全部取得条項付種類株式とは、株主総会の特別決議を経ることで、そのすべてを取得できる株式のことです。

前提として、会社は普通株式だけでなく、定款の規定によって内容の異なる種類株式を発行することもできます。全部取得条項付種類株式は、種類株式の一つに位置付けられています。全部取得条項付種類株式を用いたキャッシュアウトは、大まかに以下の流れで進められます。

  1. 対象の会社が発行する株式すべてを全部取得条項付種類株式に変更する
  2. すべての全部取得条項付種類株式を取得し、株主に普通株式を対価として与える
  3. 株式の端数を売却し、少数株主に対して現金を渡す

なお、すべての株主に対して権利が平等に与えられる普通株式のみを発行している企業の場合は、株主総会における特別決議の権利によって、普通株式を全部取得条項付種類株式に変更できるようになります。

2014年の改正会社法施行以前の実務において、キャッシュアウトの方法として広く利用されてきたのは、全部取得条項付種類株式を活用した方法でした。しかし、現在は同改正によって、より簡便な方法とされる、株式併合・株式交換・株式等売渡請求制度などを用いたキャッシュアウトの方法が整備されており、現在はこれらの方法が主流とされています。

株式併合の利用

株式併合とは、複数ある株式を一つにまとめる手法です。例えば、会社が100株を発行していて、それが3人の株主に90株、7株、3株と分配されているとしましょう。

ここで「10株を1株にまとめる」という株式併合の決定がされた場合、それぞれの株主は9株、0.7株、0.3株を持つことになります。

株式併合の大きなポイントは、1株未満になった株は、株主の権利が消えてしまうということです。つまり、0.7株と0.3株を分配された株主は、株主としての権利を行使できなくなります。なお、端株は合算され、1株になった段階で時価で売却されます。

株式併合の利点は、会社法の定めによって、2/3以上の議決権があれば株主総会の特別決議により実行できるため、条件が整えば容易にキャッシュアウトが進められることです。

株式等売渡請求

対象会社の議決権の9割以上を所有している特別支配株主が、少数株主に対して、株式を売り渡すよう請求することでキャッシュアウトを行う手法です。

株式等売渡請求を受けた少数株主は拒否できないため、特別支配株主は少数株主から確実に株式を手に入れられます。

株式等売渡請求によるキャッシュアウトが実施できるようになったのは、2014年の会社法改正以降です。

株式等売渡請求によるキャッシュアウトは企業側の承認があればすぐに進められるので、従来の方法と比較するとスピーディーにキャッシュアウトできます。そのため、会社法の改正以降、キャッシュアウトの主な手法として定着しつつある手法です。

株式交換の応用

株式交換によるキャッシュアウトは、自社が他の会社に出資して株主になっている場合にのみ使用できる手法で、具体的には親会社が子会社の少数株主から株式を買い取るときによく使われています。

まず、親会社は、子会社の株式を自社の株式と交換します。すると、少数株主は子会社ではなく、親会社の株主になります。その後、親会社は自社の株式を統合して、小株主が持っている株式の数を1株未満にします。これにより、実質、少数株主の株式を買い取ることが可能です。

そのほかの方法として、親会社が子会社の株式を買い取る代わりに直接現金を支払う方法もありますが、いずれの方法を用いる際も株主総会の特別決議を経る必要があります。

キャッシュアウトの対抗手段

キャッシュアウトは、会社側にとって反対分子を排除できるというメリットがある一方で、排除される少数株主側からすると保有株を買い叩かれることから、気持ちの良い制度ではないでしょう。

特に中小企業の株主は、親類・友人・創業仲間など密接な関係性を構築しているケースが多く、キャッシュアウトを慎重に進めなければトラブルが発生する原因となるでしょう。

本章では、キャッシュアウトに対して、少数株主側で講じることのできる主な対抗手段について、以下の順番で解説します。

  • 株主総会決議無効確認・取消しの訴え
  • 売渡株式等の取得の無効の訴え
  • 株式併合の差止請求
  • 売渡株式等の取得をやめることの請求
  • 反対株主の株式買取請求
  • 売買価格決定の申立て

株主総会決議無効確認・取消しの訴え

これは、全部取得条項付種類株式・株式併合・株式交換によるキャッシュアウトへの対抗手段として活用される可能性があるものです。これらの方法によるキャッシュアウトの実施自体を妨げたいと考える少数株主は、株主総会の特別決議の瑕疵を主張して、決議の効力を争うことも可能です。

例えば、以下のような方法で株主総会決議の無効あるいは取消の訴えを提起できます。

  • 特別利害関係人の議決権行使による著しく不当な決議にあたるとして株主総会決議の取り消しの訴えを提起する(会社法第831条1項3号)
  • 決議の内容が株主平等原則(同法第109条1項)に反するとして、株主総会決議無効確認の訴えを提起する(同法第830条2項)

とはいえ、判例では反対株主に対する対価が著しく低廉になるような条件でない限り、このような訴えは認めておらず、一度キャッシュアウトの手続きが始まってしまうとこれを止めるのは難しいと考えられています。

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売渡株式等の取得の無効の訴え

これは、株式売渡請求の制度を利用したキャッシュアウトへの対抗手段として活用される可能性があるものです。違法な株式売渡請求が行われた場合、少数株主は売渡株式等の取得の無効の訴えを提起できます(会社法第846条の2第1項)。

無効の原因とは、売買価格が明らかに不当であったり、会社がその売買を承認する過程に問題があったりする場合などです。

株式併合の差止請求

これは、株式併合によるキャッシュアウトへの対抗手段として活用される可能性があるものです。株式併合が法律・定款に反していて、株主に不利益が生じる可能性がある場合、株主は会社に対してその株式併合の差止を請求できます。

法令・定款違反が認められる典型的なケースとしては、以下のような事例があります。

  • 株式併合を決議する株主総会に無効・取消事由がある
  • 会社は株式合併の効力発生日の20日前までに株主総会決議で定めた事項を株主に通知もしくは公告しなければならない(会社法第182条の4第3項、第181条1項及び2項)ところ、そのような通知等に不備があったケース

なお、株式併合にあたって、対価が不当であることを理由にした差止請求はできないとされています。要求はできないとされています。

売渡株式等の取得をやめることの請求

これは、株式売渡請求の制度を利用したキャッシュアウトへの対抗手段として活用される可能性があるものです。株式売渡請求が法令に違反する場合等のケースで、少数株主が不利益を被るリスクがある場合は、特別支配株主に対して、売渡株式等の取得の差止を請求できます(会社法第179条の7第1項)。

主な差止事由としては、対価が著しく不当な場合のほか、少数株主の締出しを狙った不当な特別支配株主の行為についても該当する可能性があります。

反対株主の株式買取請求

これも、株式併合によるキャッシュアウトへの対抗手段として活用される可能性があるものです。株式併合によって1株未満の端数が生じるケースにおいて、その株式併合に意義を唱える株主は、会社に対して端数の株式を公正な価格で買い取るよう請求できます(会社法第182条の4第1項)。

ここまでに紹介した「株主総会決議無効確認・取消しの訴え」や「株式併合の差止請求」とは違い、キャッシュアウトの実施自体は認めるものの、株式の買取価格で争うことを目的とした対抗手段です。

もともと会社が株式併合を行う場合、あらかじめ株主総会の特別決議を経る必要があります(同法第180条2項、第309条2項4号)が、株式買取請求権のもとで端数の株式を公正な価格で買い取ってもらいたい株主は、この株主総会が開催される前に、会社に対して株式併合に反対する旨を伝えたうえで、株主総会でも反対の意見を述べる必要があります(同法第182条の4第2項1号)。

なお、株主総会では株式併合の日程も決められますが、株式買取請求は効力発生日の20日前から効力発生日の前日までの期間に実施しなければなりません(同法第182条の4第4項)。

買い取りが行われる価格については、まず会社との話し合いにより決められます(同法第182条の5第1項)。ここで話がまとまれば良いですが、まとまらない場合は裁判所に価格決定の申立を行って決める流れです(同法第182条の5第2項)。

キャッシュアウトの実施に際して、新型コロナウイルスの影響などにより会社の資産が減っていることを利用し、株式の価格を減少している純資産額を基準に算定して安く買い取ろうと考えるケースが多く見られます。

そこで、少数株主としては、株式の買い取り価格を高くするために、反対株主の株式買取請求権を利用することがあります。

売買価格決定の申立て

これは、株式売渡請求の制度を利用したキャッシュアウトへの対抗手段として活用される可能性があるものです。特別支配株主からの株式売渡請求があった場合、少数株主側は裁判所に対して自身の持つ株式の売買価格決定の申し立てを実施できます(会社法第179条の8第1項)。

売買価格決定の申立ては、ここまでに紹介した「売渡株式等の取得の無効の訴え」や「売渡株式等の取得をやめることの請求」などとは違い、株式売渡請求によるキャッシュアウトの実施自体は認めるものの、株式の買取価格で争うことを目的とした対抗手段です。

売買価格決定の申立ては、少数株主に対する公正な対価の支払を保障するための救済措置です。裁判所により売買価格を決定した場合、特別支配株主はその売買価格に対する取得日後の法定利率(年3%)により算定した利息も支払う必要があります(同法第179条の8第2項)。

キャッシュアウトの事例

本章では、キャッシュアウトが実施された有名な事例を5つ紹介します。

  • パイオニア株式会社の事例
  • 佐渡汽船株式会社の事例
  • 株式会社雪国まいたけの事例
  • 株式会社カネボウ化粧品の事例
  • 株式会社光製作所の事例

それぞれの事例のポイントを順番に把握しておきましょう。

パイオニア株式会社の事例

パイオニア株式会社は、カーナビゲーションや車の音響システムなどに力を入れている電子製品の会社です。しかし、カーナビやテレビ事業がうまくいかず、しばらくの間、業績が良くありませんでした。その結果、2018年には上場廃止を決めています。

このとき、香港に拠点を持つ投資会社「ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア」が支配株主となって、株式併合によるキャッシュアウトが実施されました。その後、2019年にはパイオニアは完全子会社化されています。

上場廃止と完全子会社化により、パイオニアは短期的な利益よりも、中長期での成長と安定を目指す新たな方針に舵を切ることに成功しています。

参考:パイオニア株式会社 「スポンサー支援に関する基本合意書の締結に関するお知らせ」

佐渡汽船株式会社の事例

佐渡汽船株式会社は、2022年2月にみちのりホールディングスの子会社となり、上場廃止となりました。

これにより、佐渡汽船は、27万株を1株にまとめる手続きを行いました。また、株主が持っている端株については、1株202円だった価格を30円で買い戻すという手段が取られました。

佐渡汽船は、このような手続きをする背景には、会社が大きな負債に苦しみ、資金が足りない厳しい状況があると説明しています。そのため、株主にこれ以上の損害を与えないよう、適切な価格で買い戻しを行うと説明しました。

参考:佐渡汽船株式会社「第三者割当による新株式及び新株予約権の発行、定款の一部変更、親会社、主要株主及び主要株主である筆頭株主の異動、自己株式の消却、株式併合及び単元株式数の定めの廃止、株式分割及び単元株式数の定めの新設、並びに、株主に対する新株予約権(非上場)の無償割当についてのお知らせ」

株式会社雪国まいたけの事例

株式会社雪国まいたけは、マイタケやブナシメジなどを栽培し、それを使った食品や健康補助食品を作って販売している会社です。

2015年に、アメリカの投資会社「ベインキャピタル」が雪国まいたけに対して、株式公開買付けおよびキャッシュアウトを行いました。その結果、雪国まいたけは「ベインキャピタル」の完全な傘下に入り、同年6月には上場廃止となっています。

本件キャッシュアウトの背景には、雪国まいたけの経営陣が不正な会計行為で告発され、創業者も経営から手を引いたという事情があります。新しい経営陣でも問題が続いていたので、「ベインキャピタル」が買収のチャンスと見たわけです。

その後、「ベインキャピタル」は、自分たちが持っていた雪国まいたけの株をアメリカの大手卸売業者に売って利益を上げました。ちなみに、2020年9月、雪国まいたけは再上場を果たしています。

参考:日本経済新聞社「米ベインキャピタル、雪国まいたけにTOB 最大95億円」

株式会社カネボウ化粧品の事例

2004年、株式会社カネボウ化粧品は産業再生機構による支援を受けることになり、2005年には過去の粉飾決算を理由に上場廃止となりました。

上場最終取引価格は360円で、再生ファンドは買収受け皿会社「トリニティ・インベストメント株式会社」を通じて、一般株主から1株162円でTOBを実施しています。一部の投資家は再上場を望んでいたためTOBに応じませんでしたが、キャッシュアウトによって締め出されました。

その後、一部の有志により株式買取価格決定申立事件が提起されており、その後、東京地裁により会社提示の1株162円を大幅に超える1株360円が妥当である旨の決定が出されています。

現在、株式会社カネボウ化粧品は花王株式会社の完全子会社となり、社名・ブランド名はクラシエに変更されています。

参考:花王株式会社「会社分割(簡易吸収分割)に関するお知らせ」

株式会社光製作所の事例

2019年、家具販売や不動産賃貸業などを手がける株式会社光製作所は、親会社である光商・久光・久伸・松栄の4社によってキャッシュアウトが行われた結果、上場廃止となりました。親会社の4社は株式併合の方法を用いて少数株主を排除しています。

家具業界と不動産賃貸業界ではいずれも市場が縮小傾向にあり、光製作所の業績も厳しい状態にありました。そこで、親会社4社はキャッシュアウトによって光製作所の上場を廃止し、経営の立て直しを図る決断に至ったのです。

参考:株式会社光製作所「臨時株主総会招集ご通知」

キャッシュアウトの注意点

最後に、キャッシュアウトを実施する際の注意点は、主に以下の4つです。

  • 余裕のあるスケジュール管理
  • 自社に適した手法の選択
  • 多額の資金確保
  • 訴訟リスクの把握

それぞれのポイントを順番に解説しますので、キャッシュアウトの実施にお役立てください。

余裕のあるスケジュール管理

キャッシュアウトの実施にあたっては株主総会の特別決議による承認が求められるケースが多いです。その場合、議題の確定や株主総会の開催準備などに時間が求められますが、とりわけ株主総会の招集通知は株主全員の同意がない限り、原則14日以上前の公告が必要です。

キャッシュアウトを円滑に進めるためには、必要な手続きの内容を把握したうえでスケジュールを管理する必要があります。

自社に適した手法の選択

前提として、自社に適した手法を選択することが大切です。各手法に特徴・注意点があるため、十分に把握したうえで手法を決めましょう。

まず、自社の状況によって利用できる手法が異なります。特別支配株主に該当する場合には株式等売渡請求を活用可能な一方で、親会社が子会社をキャッシュアウトするケースでは株式交換を活用可能です。そして、これらの条件に当てはまらなければ、株式併合もしくは全部取得条項付種類株式を利用するのが基本です。

ただし、いずれの手法においても、一定の株式を保有していなければキャッシュアウトは行えません。本来、キャッシュアウトは大株主が少数株主から株式を得るための手法であるため、それに応じた株式を保有していることが求められます。

多額の資金確保

キャッシュアウトを実行するためには、少数株主から株式を回収するために資金の準備が欠かせません。会社の株価により金額は大きく変動するものの、多額の資金が求められるケースがほとんどであるため、あらかじめ十分な資金を用意しておきましょう。

訴訟リスクの把握

キャッシュアウトにより、少数株主から強制的に株式を買い上げることになります。強制的な株式の買い上げに反対する株主が権利を行使し、会社法に則ってさまざまな訴えを提起するおそれがあるでしょう。

訴訟リスクを把握したうえで、万が一の自体にも対応できるよう準備しておきましょう。

まとめ

キャッシュアウトとは、企業の大株主が小さい株主に対して対価を払って、その企業から退出させる手法です。

会社にいる株主を大株主だけに絞ることで、株主総会などの手続きが簡単になり、決定を早く行えるようになるなどのメリットがあります。

一方で、キャッシュアウトを行うためには、一定の株式を保有する必要があるほか、株主総会での決議や議題の確定など、求められる条件・準備・手続きが多数あり、実行までに多くの時間がかかる点などがデメリットです。

会社法におけるキャッシュアウトを行うための手法にはそれぞれ異なる特徴があるため、置かれた状況に適したものを選択しましょう。少数株主による対抗手段にも注意しながら、余裕を持ったスケジューリングでキャッシュアウトを進めていくことが大切です。

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